ギャングとプロレスの軍団、共通項は...帰属意識と変な衣装!
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人が集まれば集団が形成されるのが常です。リアルではボッチでも、ネット上にならお仲間が居るという方もいるでしょう。プロレスは特に集団が生まれ易い土壌にあります。昭和プロレス的な表現でいう「軍団」ですね。
人間は元来群れで行動して来た生物故の帰属意識を持っており、自分がその「軍団」に直接属さないとしても、共感を覚えることで応援したり、逆に反発したりと感情移入を促せるため、「見る(スペクテイター)スポーツ」、特にプロレスにおいての「軍団」は必要不可欠な要素になっています。
また、闘う集団であることに加えて世襲が多い業界なので、兄弟や親類で「軍団」を組むことも少なくないことから、帰属意識の塊ともいえる「ギャング」の性質に近いかもしれません。
そこで今回のお題はギャング方面の要素で観てみた『ウォリアーズ』(1979年公開)。NYのストリートギャング同士の抗争を題材にした内容で、上映当時、実際にギャング同士の抗争が勃発し、公開中止地域も出た程の問題作だとか。
超党派集会に参加した主人公ギャング団が、主催有力ギャング団のボス殺しの濡れ衣を着せられてしまい、有力ギャング団や他のギャング団、そして警察の追っ手をかいくぐりホームタウンを目指す...という逃走劇なんだけども、「ギャングとはなんだったのか」と自分の中のギャング像を揺るがすシーンが次々炸裂!
登場する各ギャングはそれぞれの外見が特徴的で、主人公達の「ウォリアーズ」の様にお揃いの皮ベストや、オーバーオール、拳法着はまあ良いとしよう。しかし、山高帽&白塗りメイク軍団(芸術家ギャングらしいぞ)に、挙げ句の果ては野球ユニフォームにフェイスペイントの変態集団(94年のMLBストライキに便乗してブルックリン・ブローラーのギミックにそっくり)が登場と、どこがギャングだとツッコミたくなる連中ばかり(見た目が派手な程ヤラレというのもまた然り)。
とにかく見た目がアレなので抗争シーンはもはやプロレス状態(変態集団との追走劇と対決シーンは秀逸な効果音とBGMも相まって必見)。
道中、仲間割れ危機やら女絡みの失敗やら何故か海岸で最終決戦を経て真犯人が粛正されて爽やかにハッピーエンドと、言わば「青春ロードムービー」なので、これで実際に事件が起きるとか当時のリアルギャング殺気立ち過ギィ!と言わざるを得ないのであります。
(文/シングウヤスアキ)