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プロレス×映画

ベビーとヒール、立場逆転の抗争あるある

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 今回のお題となる映画は『フェイス/オフ』。100を超えるヅラを持つヅラ長者ジョン・トラボルタと変幻自在の増毛兄貴ニコラス・ケイジによる二大スター競演にして、鳩飛ばしのジョン・ウー監督という「午後のロードショー」枠作品。

 FBI捜査官ショーン(トラボルタ)が、息子の命を奪った極悪テロリスト・キャスター(ケイジ)を逮捕するも、細菌テロを防ぐため、キャスターの顔と自身の顔を特殊移植技術によってすげ替え、極秘潜入任務に身を投じることに。しかし、その裏で目を覚ましたキャスターもショーンの顔を移植。秘密裏に二人の立場が入れ替わったことで事態は急変し...というのがあらすじ。

 WWEで喩えると若干古い喩えになりますが、シナ(善)とエッジ(悪)の立場が秘密裏に入れ替わるようなもの。さすがのWWEでも顔面入れ替えは当然として、人格入れ替えネタも聞いたことないけど、立場逆転現象自体は終わりの無い連続ドラマであるWWE故、長期間の抗争において存在する"あるあるネタ"です【※】。
 ベビーフェイス(善玉)として抗争に勝利した人物が、その後、何かのキッカケでヒール(悪玉)に転向。その一方で抗争に負けた人物もヒールからベビーフェイスに転向。時を経て立場が逆転した二人の抗争が再勃発する、といった感じ。
 まぁ『フェイス/オフ』の場合、表面上(顔面と声)変わっただけでベビーはベビーのまま、ヒールはヒールのままなんだけどもな!

 ちなみにこの作品の終盤ではジョン・ウー作品に欠かせないエッセンスである「スローモーション」、「しつこいクローズアップ」、「鳩」、「教会」が一挙に楽しめますが、緊迫シーンなのに笑いを堪えるのに必死にならなくてはいけないので要注意(貴方にジョン・ウー作品の先入観が無ければ平気かもしれません)。
 モブ達のやり過ぎなやられ方も、WWEのリングで華麗にやられるジョバー(最近ではヒース・スレイター)を思わせます、と強引に締めさせて頂きます。

※WWEはオフシーズンもなく毎週延々と番組が続くため、一定期間の抗争に決着がつくと新しい相手との抗争が開幕!...を繰り返すことになります(月に約10程の抗争が同時進行されます)。その過程で以前の抗争相手とまた抗争に...なんてのも良くある話で、退団したスパスタ(選手)が復帰して因縁の抗争が再開した時などは特にベビーとヒールの立場が入れ替わっていることが多いです。

(文/シングウヤスアキ)

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シングウヤスアキ

会長本人が試合までしちゃうという、本気でバカをやるWWEに魅せられて早十数年。現在「J SPORTS WWE NAVI」ブログ記事を担当中。映画はB級が好物。心の名作はチャック・ノリスの『デルタ・フォース』!

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