日本人はなぜ器を手に持って食事をする? 懐石料理の専門家が解説

明治のころまでは、主に畳にお膳を置いて食べていた。お膳の前に正座し、それぞれ個別の配膳がなされていた。撮影:砂原 文
江戸懐石近茶流嗣家の柳原尚之さんは、食事のときに器を手に持つスタイルは日本独特の文化とも言えるのでは、と話します。

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日本では食事のときに器を手に持って食べる習慣がありますが、これは世界的に見ると珍しいスタイルで、日本独特の文化ともいえます。かつての日本の食事の形は、畳に座り、お膳を前にするものでした。この様式は料理と口との距離が遠く、こぼさずに箸で運ぶのが難しかったので、それを補うために「器を手で持つ」という所作が生まれたと考えられています。さらに「器に口をつける」という所作が加わり、手先の器用だった日本人は“さじ”を使わず、なんでも箸だけで食べる文化が発展したともいわれています。
現在では日本でも、テーブルと椅子で食事をすることが主流ですが、「器を手に持って食べる」という食事の作法は今も変わらず引き継がれています。
※テキストでは、美しい箸の使い方を献立別に紹介しています。
■『NHKまる得マガジン いまさら聞けない 美しい箸の使い方』より

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