秋はますます美しく! 大人気のアガベ

アガベのなかで現在、最も人気が高いチタノタ。葉の先端のとげは鋭く、葉の縁の大きな「鋸歯(きょし)」は曲がり、豊かな表情を見せる。放射状に肉厚の葉が伸びて、株姿は丸くまとまりやすい 撮影:田中雅也
この5年ほどの間に大ブレイク。多肉植物のなかでも、いまファンの間で特に熱いまなざしを向けられているのがアガベです。これから10月末までは、重要な生育期。上手に管理すると、株が充実して、引き締まったフォルムになり、11月には1年でも最も美しい株姿を見せてくれます。アガベの魅力と育て方の基本を、園芸家の鶴岡秀明(つるおか・ひであき)さんに教えてもらいました。

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■荒々しさと均整のとれた姿

肉厚で存在感のある葉。その先端にある鋭いとげと、葉の縁に連なるギザギザの「鋸歯」……。
アガベの原産地はアメリカ南西部からメキシコを中心に、中米から南米北部の諸国、カリブ諸島など。葉の荒々しい形からは、強い太陽の照りつける乾燥地帯の厳しい環境を耐え抜いてきた強さや激しさが感じられます。一方で、株全体の姿はシャープで無駄がなく、均整がとれて、とてもスタイリッシュ。その対比も魅力的です。
栽培は比較的簡単で、枯死させる心配はほとんどありません。しかし、美しい姿をつくるには、それなりの栽培テクニックが必要。その奥深さもファンを夢中にさせる理由の一つです。

■水やりはメリハリをつける

アガベは暑さに強いものの、日本の夏の高温多湿は苦手。梅雨から真夏の6月中旬~8月下旬は、日照時間を長くし風通しを図り、葉が間のびしないように育てます。
9月に入り、夜の温度が下がってくると株全体が締まりだし、秋の生育期に入ったことがわかります。この時期に、なるべく長時間、日光に当て(多くの種類は6~9月は10〜20%遮光)、鉢土が内部まで乾いてからたっぷりと水を与える、メリハリのある水やりを行うと、充実して引き締まった美しい株に育ちます。

■毎年、春か秋に植え替える

アガベは年1回、必ず植え替えます。もし、今年春に植え替えていないなら、9月中に植え替えるか、根鉢をくずさないで鉢増しを行い、春に改めて植え替えます。新しく入手した株も同様です。
1年以上、植えたままにしていると、根詰まりを起こし、生育が衰えるだけでなく、病害虫発生の原因になります。植え替えは美しい株に育てるための最低条件です。
培養土は水はけを高めたものを用います。水をたっぷり与えても、早く乾くので、メリハリのある水やりを行いやすくなります。
■『NHK趣味の園芸』2021年9月号より

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