テラリウムってなあに?

果実酒瓶でつくるミニ観葉の寄せ植え 撮影:田中雅也
テラリウムは、密閉した透明な器の中で植物を育てる室内園芸です。清潔で手がかからず、グリーンインテリアとしても人気。園芸家の深町貴子(ふかまち・たかこ)さんに、テラリウムの起源、楽しみ方を教えてもらいました。

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■プラントハンターの「ウォードの箱」が起源

テラリウムの起源は、プラントハンターが活躍した19世紀までさかのぼります。当時、新天地で発見した植物を枯らさずに本国に送り届けることが、彼らの使命でした。さまざまな方法が試みられ、密閉したガラスの箱にシダを入れ、イギリスからオーストラリアに運んでみたところ、半年に及ぶ航海を経ても、シダは箱の中で生き生きとしていました。この発明をしたイギリス人医師の名にちなみ、シダを運んだガラスの箱は「ウォードの箱」と名づけられました。
その後、ウォードの箱を模した室内園芸用のガラスケースが人気となり、「テラリウム」の名で、家庭でも楽しまれるようになりました。

■ガラスの器越しに緑の地球を観察する

ところで、どうして密閉した器の中で植物が育つのか、不思議ではありませんか?
テラリウムは、植物が光合成や呼吸をすることで、水と酸素と二酸化炭素が密閉した器の中で循環して、小さな地球が成立しているのです。
そのため、器はいつも曇っています。植物が呼吸や蒸散をしているからです。植物が生活をして、大気や水が循環する地球の仕組みを観察できるのも、テラリウムの魅力です。
ときどきふたを開けて曇りを取ったり、中をのぞいたりしてもいいですが、器の中で成立していたバランスがくずれると、植物が大きく育ちすぎたりするので、ほどほどにしましょう。
テキストでは、身近な材料でできる簡単テラリウムのつくり方は紹介しています。
■『NHK趣味の園芸』2021年8月号より

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