万全の態勢で2年ぶりの開催 85名が集った全日本女流アマ選手権

撮影:小松士郎
2年ぶりの開催となった全日本女流アマ選手権は全国から85名の選手が参加。ベスト4に残った4人はいずれも優勝経験がない。 女流アマ碁界は群雄割拠の戦国時代に突入した。村上深さんがレポートする。

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昨年度のアマチュア大会はコロナ禍により、軒並み中止となった。本当に久しぶりに、アマ棋戦の全国大会が日本棋院で開催された。受け入れ態勢は万全。一般的な施策としての体温チェック、消毒、マスク着用はもちろん、さらに対局者の間にパーティションを設置し、できるだけリスクを抑えた。

■若手もベテランも譲らず

全国から集結した85人の選手は15組に分けられ、本戦トーナメント出場を懸けて争った。新進気鋭の若手と実績十分のベテランが激突し、あたかも世代間闘争の様相を呈した。

■新女王を目指して

ベスト4に残った宇根川万里江さん(東京・千葉)、村瀬なつさん(東京・千葉)、内田祐里さん(埼玉)、加藤優希さん(愛知)は、いずれも初戴冠を狙う。激闘を制し、決勝へ駒を進めたのは村瀬さん、内田さんの2名となった。

■優勝のあとに進む道は…

村瀬さん、内田さんはともに院生修行を経験している実力者。なんと、両者とも岩田一九段が主宰する「岩田子ども教室」で腕を磨いたそうだ。内田さんが中学生の頃、一度だけ対局したことがあるという。久しぶりの再戦が女流アマ選手権の決勝となるとは、本人たちも予期していなかったに違いない。
決勝を制したのは内田さん。昨年もプロ試験に参加しており、今回の優勝を弾みに棋士を目指すかと思われたが…。
「最近は勝負に疲れちゃいました。プロ試験を受けるか、進学するか、社会人になるか、迷ってます」と言う。記者も棋士を目指したことがあるので、気持ちは痛いほど分かった。周囲の期待はもちろんあると思うが、最後は自分が判断して、悔いのない選択ができるようにと願わずにはいられなかった。
■『NHK囲碁講座』2021年6月号より

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