アッ!と驚く とっておきのバラ再生法

ダメになりそうな株でも、きちんと手をかければこんな見違える姿に! 撮影:田中雅也
5年、10年と育てているうちに樹勢が衰えてダメになりそう! そんな株も元気に復活させることができます。衰えたり樹形のバランスがくずれたりした株にお悩みの方々に捧げる、“レジェンド”ことバラ栽培研究家の鈴木満男(すずき・みつお)さん流バラの再生法をご紹介します。

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バラは手入れがよければ数十年も花を咲かせ続けますが、管理を間違えると数年で衰えて主枝が1~2本になり、花数も少なくなってしまいます。今回はそんな「残念な株」をお持ちの方に、とっておきの再生法をご紹介します。



「これ、スタンダード仕立てみたいに見えますが、以前は株元からシュートが数本出ていたんです。9年間育てているうちに、こんな姿になってしまって……」。
そうこぼすAさんの株がモデルです。四季咲き品種を鉢植えで育て、毎年怠らず植え替えもしてきたとか。株元にはたしかにシュートの痕跡が残っています。
そこでとっておきの方法で植え替えを行い、株元から新しいベーサル・シュート(株元から出る枝)を、古い主枝からサイド・シュート(枝の途中から出る枝)を発生させて、株を再生することにします。
バラに限らず、植物の多くは頂芽優勢の性質をもっています。そこで、枝が斜めになるように植え替えることで株元の芽を動かし、新しいシュートを出させます。こういうと「株元にも芽があるの?」と疑問をもつ人がいるかもしれません。バラは葉腋(ようえき/葉のつけ根)から定芽(一定の位置から生じる芽)を出しますが、分枝部や株元にも不定芽(条件しだいでどこからともなく出る芽)が隠れています。つまり、株元の見えない芽に期待するわけです。
芽を動かすには、古枝(主枝)を少なくとも斜め約45度に倒して植えつけます。鉢植えは枝を倒して植え、庭植えは枝を曲げて固定しましょう。その後適切に管理すれば半年で生まれ変わります。作業適期は植え替えの時期(関東地方以西なら2月下旬ごろ)。この時期なら寒害を受けずに順調に生育します。古株を再生したければ、今から心づもりをして来春ぜひトライしてください(株が衰弱していたり病害虫に侵されたりしていると再生しない場合もある)。
再生したら、鉢植え株は次の休眠期に再度植え替えて、倒した枝を少し起こします。庭植えの株は枝の固定を外します。斜め45度のままにしておくと枝が衰弱してしまうことがあるので注意しましょう。
※テキストでは写真入りで詳しく手順を解説しています。
■『NHK趣味の園芸』連載「“レジェンド”鈴木満男さんに教わるバラ栽培の奥義」2020年10月号より

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