誰かに話したくなる! ブドウのトリビア

甲州 撮影:上林徳寛
家庭ではほとんど育てることがない超大型の品種から、歴史的な物語のある品種や原種まで、誰かに話したくなる珍しいブドウの数々! 『趣味の園芸』2020年8月号では、「珍種・希少種 ブドウトリビア」と題し、大型種や歴史的物語がある品種、日本の原種、人が手をかけなくてもタネなしになる品種、ワイン専用品種などを紹介しています。本稿ではその中から「甲州」と「キングデラ」をお届け。解説は香川大学農学部教授の望岡亮介(もちおか・りょうすけ)さんです。

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■日本で最初の栽培品種 甲州

日本初の栽培品種で、東洋系のvinifera種です。平安末期(12世紀)に雨宮勘解由(あめのみや・かげゆ)という人が現在の山梨県でほかの野生ブドウとは異なる種を発見して栽培したのが始まりとされますが、奈良時代(8世紀)に法相宗の高僧行基(ぎょうき)が現在の勝沼町を訪れ、大善寺を建立した際にタネをまいたという説もあり、来歴は不明です。最近のDNA解析でヨーロッパ種と中国の野生種「刺葡萄(トゲブドウ)」(Vitis davidii)の交雑種に、さらにヨーロッパ種が交雑したものであろうという結果が出ました。最近は‘甲州’による白ワインが海外で高い評価を得ています。

■最高糖度23度の極甘品種 キングデラ

大阪生まれの‘レッドパール’と、紀元前から栽培が続く淡黄緑色の高級品種‘マスカット・オブ・アレキサンドリア’( 通称マスカット)の交雑種。果粒は自然状態ではほとんどタネを含まず、食べるのには便利です。ただし極小のため、ジベレリン処理を施して果房を300g以上の大きさ(‘デラウェア’の1.5~2倍)にします。酸味は中、香りはほとんどありませんが、糖度は平均20度、最高23度と高く、とても甘い品種です。
※続きはテキストでお楽しみください。
■『NHK趣味の園芸』2020年8月号より

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