ジムにも負けない!? じつは運動にもなる園芸

岩崎先生  撮影:成清徹也
園芸は、楽しいだけでなく、心にも体にもよい影響を与えてくれるものです。千葉大学大学院で園芸の可能性を研究する岩崎 寛(いわさき・ゆたか)先生が、園芸療法の視点からやさしく教えてくれます。

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■運動効果を科学的に証明してみた

この連載は、人と植物の関わり合いで成り立っている「園芸」という趣味が、じつは私たちの心にも体にもよい影響を与えてくれることを、いろいろな側面から紹介していきます。そのために、科学的根拠(エビデンス)もきちんとお伝えしながらわかりやすく、興味深い話になっていくように心がけますので、おつき合いください。
さて、今回のテーマは「じつは運動にもなる園芸」です。園芸というと、あまり体を動かすという印象がないかもしれません。
現在、園芸をリハビリテーションの一部として取り入れている作業療法士の人もおられます。しかし、いまだに「園芸は体によいのかもしれないけど、やっぱり確立された運動プログラムのほうが効果的なはず」と考えている人も多いようです。
そこで私は、同じ千葉大学の人間工学の先生協力のもと、苗の植えつけ作業をするときに、どれだけ筋肉を使うのかということを科学的に調べてやろうと思いました。時間を忘れて庭仕事をした翌日の筋肉痛に覚えがある人の代表として、正直ちょっと腹が立ったのです(笑)。
実験では、植えつけをするときの一連の動きについて、上半身で運動効果を計測しました。その人の最大筋力の何%を使っているかを筋電計で数値にし、なおかつその後の疲労度も調査しました。結果はもちろん「運動効果あり」でした。
多くの作業が無理なく続けられる軽い運動(最大筋力20%以上)であることがわかり、筋力の増加が期待できる(最大筋力40%以上)動きも存在しました。
さらに、作業後の疲労感が少ないということもわかりました。いくら効果が高い運動でも、機械的な動きは、続けることが難しいものです。継続しなければ運動効果は大いに減ってしまいます。その点、園芸であれば疲労感も残らず、毎日変化する植物の姿を楽しみにしながら、また庭仕事にいそしみたいと思うでしょう。園芸の運動効果は想像以上に高い、という科学的な裏打ちがなされました。
※続きはテキストでお楽しみください。
■『NHK趣味の園芸』2020年5月号より

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