小川誠子六段と趙治勲名誉名人 内弟子時代の思い出

『NHK囲碁講座』の大人気連載「趙治勲名誉名人のどうでもいい碁の話」が2020年3月号で最終回を迎えました。昨年残念ながら亡くなった姉弟子の小川誠子六段との思い出を語ってくれました。

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驚きました。ショックです。昨年11月15日、小川誠子さんが亡くなりました。いまだに信じられません。
小川さんとぼくは木谷實九段門下。3年くらい前だったかな。世界ペア碁最強位戦の大盤解説会で久しぶりに一緒になりました。もともとは石田芳夫さん(二十四世本因坊秀芳)と小川さんが務めていました。ぼくが加勢した格好です。
聞き手としての小川さんは最強です。NHK杯の聞き手、10年以上続いたと思います。ぼくね、小川さんにはこんなイメージがあります。「わたし、わかんなーい」。この言葉、まさに最強ですよ。オールド男性ファンは、ついデレッとしちゃうんじゃないかな(笑)。
小川さんはぼくにどんなイメージを持っていたか。どうもお風呂らしい。日本に来たばかりのぼくをお風呂に入れたことを覚えていてね。生意気言ったりすると、「減らず口ばっかり叩(たた)いて。私、お風呂に入れてあげたんですからね!」と反撃されたものです。後年、ぼくは、今お風呂に入れてくれたら感謝しますという返し技を編み出しましたが(笑)。
ぼくが言うまでもなく、絶大な人気を誇っていました。それは棋士の間でも同じ。慕われていたというほうが正しいと思います。棋士会長も務めました。
昨年の8月にも大盤解説の仕事を一緒にする予定でした。ところが、小川さんは腰痛のためキャンセル。大したことはないって聞いていたんだけど、当時から悪かったのかな? こんなことならもう一回、お風呂に入れてもらいたかった…、といつもの減らず口を叩いても、もう叱ってくれないんだなあ。さみしいです。
※続きはテキストでお楽しみください。
■『NHK囲碁講座』連載「趙治勲名誉名人のどうでもいい碁の話」2020年3月号より

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