一力遼NHK杯、どこを取っても強い柯潔九段との一局
- 撮影:小松士郎
前期NHK杯選手権の覇者、一力遼(いちりき・りょう)NHK杯の登場です。今回語っていただくのは「自信につながった、価値ある一勝」の中の一手。これから、国内はもちろん世界に羽ばたく若武者の爽やかで力強い決意をお届けします。
* * *
■自分らしい碁が打てれば…!
前期NHK杯で初優勝できたときは、本当に感無量でした。決勝に進出するのは3回目でして、2回目は井山(裕太棋聖)さんに負かされました。以前は優勝したいという気持ちが強すぎて空回りしていたところもありましたので、あまり緊張せず、リラックスして臨めればな、という思いでした。井山さんに勝ったことも自信になりました。
今回は、その優勝の少しあとの4月に行われた日中韓竜星戦の第1局を選びました。柯潔中国竜星との一局です。柯潔さんとは同い年で、10年以上前の少年大会で、やはり決勝で当たり負かされまして、そのころから強く意識していました。プロになってからも、柯潔さんは何度も世界戦で優勝されていますので、自分も負けてはいられないな、頑張らなければいけないなという気持ちになります。
それまでは日本と中国の竜星の決戦でしたが、昨年から韓国も加わりました。柯潔さんも韓国竜星のキム・ジソクさんも手ごわい相手ですので、どちらと当たっても厳しい戦いになると思っていました。でも、ここ十数年、日本勢としては振るわない結果が続いていますので、自分が出る世界戦は責任を持っていい結果を残したいという気持ちは、いつもあります。
柯潔さんは、どこを取っても強いのですが(笑)、地を取って、相手に攻めさせてシノぐような展開が多い気がします。ヨセもしっかりしていますし、悪くなってから勝負手を繰り出すところも厳しいものがありますし、やはり、なかなか勝ち切るまでは大変な相手だと思います。
柯潔さんとは公式戦と非公式戦合わせて3局打っているのですが、2局は終盤までこちらがかなり優勢でした。そういう碁を逆転されてしまうというのは、もちろん自分の弱いところでもありますし、柯潔さんの勝負術が非常に優れているということだと思います。勝ち切るまでの力は、少し向こうのほうが優れているのかなというのは感じますね。
ただ、前年に芝野(虎丸名人)さんが、やはり日中竜星戦で柯潔さんにいい内容の碁で勝っていましたし、自分もそれまで内容的にはまずまず打てていましたので、自分らしい碁が打てれば、チャンスはくるかなと思っていました。今回は何としても勝ちたいという気持ちは強かったですね。
※続きはテキストでお楽しみください。
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
取材/文:高見亮子
■『NHK囲碁講座』連載「シリーズ 一手を語る」2020年2月号より
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■自分らしい碁が打てれば…!
前期NHK杯で初優勝できたときは、本当に感無量でした。決勝に進出するのは3回目でして、2回目は井山(裕太棋聖)さんに負かされました。以前は優勝したいという気持ちが強すぎて空回りしていたところもありましたので、あまり緊張せず、リラックスして臨めればな、という思いでした。井山さんに勝ったことも自信になりました。
今回は、その優勝の少しあとの4月に行われた日中韓竜星戦の第1局を選びました。柯潔中国竜星との一局です。柯潔さんとは同い年で、10年以上前の少年大会で、やはり決勝で当たり負かされまして、そのころから強く意識していました。プロになってからも、柯潔さんは何度も世界戦で優勝されていますので、自分も負けてはいられないな、頑張らなければいけないなという気持ちになります。
それまでは日本と中国の竜星の決戦でしたが、昨年から韓国も加わりました。柯潔さんも韓国竜星のキム・ジソクさんも手ごわい相手ですので、どちらと当たっても厳しい戦いになると思っていました。でも、ここ十数年、日本勢としては振るわない結果が続いていますので、自分が出る世界戦は責任を持っていい結果を残したいという気持ちは、いつもあります。
柯潔さんは、どこを取っても強いのですが(笑)、地を取って、相手に攻めさせてシノぐような展開が多い気がします。ヨセもしっかりしていますし、悪くなってから勝負手を繰り出すところも厳しいものがありますし、やはり、なかなか勝ち切るまでは大変な相手だと思います。
柯潔さんとは公式戦と非公式戦合わせて3局打っているのですが、2局は終盤までこちらがかなり優勢でした。そういう碁を逆転されてしまうというのは、もちろん自分の弱いところでもありますし、柯潔さんの勝負術が非常に優れているということだと思います。勝ち切るまでの力は、少し向こうのほうが優れているのかなというのは感じますね。
ただ、前年に芝野(虎丸名人)さんが、やはり日中竜星戦で柯潔さんにいい内容の碁で勝っていましたし、自分もそれまで内容的にはまずまず打てていましたので、自分らしい碁が打てれば、チャンスはくるかなと思っていました。今回は何としても勝ちたいという気持ちは強かったですね。
※続きはテキストでお楽しみください。
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
取材/文:高見亮子
■『NHK囲碁講座』連載「シリーズ 一手を語る」2020年2月号より
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