サウナは体にどんな効果があるの?

東京・品川区松の湯のロッキーサウナ。丸太で囲ったところにあるのが、熱せられたサウナストーン。天井から自動的に水を散布して蒸気を出す仕組み。温度80℃前後、湿度20〜30%。撮影:田渕睦深
サウナは、体にどのような効果をもたらすのでしょうか。入るときの注意も含めたサウナの基礎知識を、和温療法研究所所長で、獨協医科大学特任教授の鄭忠和さんにうかがいました。

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■入浴とサウナ、それぞれの特徴

「入浴とサウナのいちばんの違いは、水圧の有無です。お湯につかって体に水圧がかかると、血行が促されたりむくみが改善されるなどのメリットがありますが、その反面、心臓に負担をかけたり、肺が圧迫されるというデメリットも見られます。これに対して、サウナでは、水圧による心臓や肺への負担はかかりません」と、サウナの温熱作用を利用した病気治療に取り組む医師の鄭忠和さん。
「両者は温度にも大きな違いがあります。お風呂の湯温は、銭湯のあつ湯でも42℃くらいですが、日本に多い乾式サウナの場合、室内の温度は80℃〜90℃。お湯では熱すぎて入れないような温度でも、サウナなら入ることができます。これは、空気の温度の伝わり方が、水より約600倍も遅いことが理由です」

■サウナで体はこう変わる

サウナに入って熱気に触れると、体にはさまざまな変化が起こります。
「まず、温まることで血行が促されて、脈拍数が増加します。血圧は、サウナに入ってすぐに一時的に上昇しますが、気持ちがいいと感じる温度であれば、その後は少しずつ落ち着くので心配いりません。もちろん、発汗も促されます」
熱すぎると感じるサウナは体への負担が大きいので、とにかく我慢をしないことが大切、と鄭さん。
「温度の感じ方は人それぞれです。個人差が大きい感覚なので、自分が心地いいと感じられる適温を知っておきましょう」
適温のサウナを習慣にして続けていくと、やがて、血行がよくなって冷え性が改善されたり、汗腺が鍛えられて体温の調節機能が改善されたりと、体質の変化につながることも。
「週2回のサウナを3か月続けると、個人差はありますが、体の変化が感じられるようになると思います。ちなみにサウナにダイエット効果はありませんが、習慣的に入ることで基礎代謝が上がり、結果的に体重が落ちる可能性はありますね」
また、本場フィンランドでは、近年、サウナの脳への影響も研究されているといいます。
「2018年に国際サウナ学会で『サウナと認知症に関する調査』についての報告がなされました。まだわからないことも多い分野ですが、サウナが脳に何らかのいい影響を及ぼしているのでは、と期待されています」
※テキストでは、サウナに入るときの注意点も解説しています。
■『NHK趣味どきっ!銭湯 ボクが見つけた至福の空間』より

NHKテキストVIEW

銭湯: ボクが見つけた至福の空間 (NHK趣味どきっ!)
『銭湯: ボクが見つけた至福の空間 (NHK趣味どきっ!)』
近藤 和幸,今井 健太郎,今田 耕太郎,早坂 信哉,鄭 忠和,上岡 洋晴
NHK出版
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