中村太地七段の「角換わり」講座スタート!
- 撮影:小松士郎
2019年10月より『将棋フォーカス』の新講座「太地隊長の角換わりツアー」がスタートしました。講師の中村太地(なかむら・たいち)七段は角換わり将棋を駆使して、2017年に初タイトルとなる王座を獲得したトップ棋士。現在プロ棋界で大流行している「角換わり」の魅力と伝統ある歴史を楽しくお伝えする旅にご招待します!
* * *
楽しみにしていたNHK杯戦が角換わりになって「難しそうだな」と感じた視聴者の方は多いはず。確かに振り飛車のように、まずは飛車を振って玉を美濃に囲って、といったわかりやすさは少ない。「アマチュアの方には、とっつきにくいイメージがあるでしょう。もったいない。そんな感覚が変わります」と力説するのが新講師の中村七段だ。
プロ棋士は勝敗とは別に探究心を持っている。もちろん勝つために対局に挑んでいるのだが、中村七段は「そこに将棋の魅力がたくさん詰まっているからプロは挑戦するんです」と瞳を輝かせる。まさに角換わりツアーだ。
角換わり将棋にはほかの戦型にはない楽しさがたくさんある。中でも大技の決まる変化が序盤から多いのが最大の魅力だ。なぜなら早々に角を交換し、いつでも好きなときに使うことができるからであり、ほかの戦型では味わうことができない面白い戦い方と言えよう。
「仕掛けたあとは駒が派手に飛びかって、さらに切り合いになれば驚く手が出てきてはらはらしますよ。まさに将棋の楽しさが凝縮しています」と中村七段。聞き手を務める加藤桃子女流三段も「最近は序盤から華々しい展開になることが多いですよね。私も好きでよく指しています」と満面の笑みを浮かべる。
角換わり将棋の歴史は古く、木村義雄十四世名人や升田幸三実力制第四代名人をはじめ、多くの名棋士たちが激闘を重ねて定跡を築き上げてきた。最近はコンピューター将棋ソフトの影響でプロの将棋観が進化し、角換わり将棋の戦い方が変わってきている。中村七段は「角換わりは時代の価値観や将棋観が大きく反映されている戦型です。歴史を時系列に沿って紹介することで、なぜ現在のプロ棋士はここまで夢中になっているのかをぜひとも知ってほしいです」と言う。
最近は居飛車党同士のタイトル戦で角換わりが最も多く指されている。加藤女流三段は「見る将棋ファンが増えて、プロの将棋に興味を持ってくださる方が多いと聞きます。角換わりの基礎を知ってもらえれば、タイトル戦の観戦もより面白さが増すはずです」と話す。「観戦ガイドにも使ってもらえるように、仕組みと面白さをわかりやすくお伝えします」と中村七段。加藤女流三段は「私も視聴者の皆さんと一緒に楽しく学んでいきます」と頼もしい。皆さんの将棋ライフがより充実したものになること間違いなし。角換わりの旅に出かけましょう!
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK将棋講座』2019年10月号より
* * *
楽しみにしていたNHK杯戦が角換わりになって「難しそうだな」と感じた視聴者の方は多いはず。確かに振り飛車のように、まずは飛車を振って玉を美濃に囲って、といったわかりやすさは少ない。「アマチュアの方には、とっつきにくいイメージがあるでしょう。もったいない。そんな感覚が変わります」と力説するのが新講師の中村七段だ。
プロ棋士は勝敗とは別に探究心を持っている。もちろん勝つために対局に挑んでいるのだが、中村七段は「そこに将棋の魅力がたくさん詰まっているからプロは挑戦するんです」と瞳を輝かせる。まさに角換わりツアーだ。
角換わり将棋にはほかの戦型にはない楽しさがたくさんある。中でも大技の決まる変化が序盤から多いのが最大の魅力だ。なぜなら早々に角を交換し、いつでも好きなときに使うことができるからであり、ほかの戦型では味わうことができない面白い戦い方と言えよう。
「仕掛けたあとは駒が派手に飛びかって、さらに切り合いになれば驚く手が出てきてはらはらしますよ。まさに将棋の楽しさが凝縮しています」と中村七段。聞き手を務める加藤桃子女流三段も「最近は序盤から華々しい展開になることが多いですよね。私も好きでよく指しています」と満面の笑みを浮かべる。
角換わり将棋の歴史は古く、木村義雄十四世名人や升田幸三実力制第四代名人をはじめ、多くの名棋士たちが激闘を重ねて定跡を築き上げてきた。最近はコンピューター将棋ソフトの影響でプロの将棋観が進化し、角換わり将棋の戦い方が変わってきている。中村七段は「角換わりは時代の価値観や将棋観が大きく反映されている戦型です。歴史を時系列に沿って紹介することで、なぜ現在のプロ棋士はここまで夢中になっているのかをぜひとも知ってほしいです」と言う。
最近は居飛車党同士のタイトル戦で角換わりが最も多く指されている。加藤女流三段は「見る将棋ファンが増えて、プロの将棋に興味を持ってくださる方が多いと聞きます。角換わりの基礎を知ってもらえれば、タイトル戦の観戦もより面白さが増すはずです」と話す。「観戦ガイドにも使ってもらえるように、仕組みと面白さをわかりやすくお伝えします」と中村七段。加藤女流三段は「私も視聴者の皆さんと一緒に楽しく学んでいきます」と頼もしい。皆さんの将棋ライフがより充実したものになること間違いなし。角換わりの旅に出かけましょう!
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK将棋講座』2019年10月号より
- 『NHK将棋講座 2019年 10 月号 [雑誌]』
- NHK出版
- >> Amazon.co.jp
- >> HMV&BOOKS