そら豆で春っぽく! ニューイングランド風クラムチャウダー

撮影:野口健志
坂田阿希子(さかた・あきこ)さんがニューヨークで出会ったクラムチャウダー。日本でも手に入れやすい食材でアレンジした「ニューイングランド風クラムチャウダー」をご紹介します。

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数年前、ニューヨークをいろいろ食べ歩き、そこで出合った味を再現して一冊の本にまとめる仕事をしました。
2週間で55件のレストランやカフェを巡り(今、考えてもすごいスケジュール……)、写真を撮ったりメモをとったり。「クラムチャウダー」もそのとき味わった料理の1つ。昔からよく知っていたけれど、実際にアメリカで食べたクラムチャウダーにはホンビノス貝という、初めて見る二枚貝が使われていました。あさりというより、はまぐりに味わいが似ています。いや、はまぐりとあさりを足して2で割った感じ。
ニューイングランド風というクリーム仕立てと、マンハッタン風というトマト仕立てのスープの2種類がほとんどの店にありました。私の好みはニューイングランド風。貝のだしをたっぷりと使ったクリーム仕立ての具だくさんスープは、12月の寒いニューヨークでの食べ歩きに疲れた胃にも、ほっと温かくてじんわりとやさしい安らぎの味わい。オイスタークラッカーという小さなクラッカーがついてたっけ。ベーコンのスモークした香りにホクホクのじゃがいも。リーキ(西洋ねぎ)の甘さと香味も大事なアクセントになっています。
今回は、つくりやすいあさりとねぎを使って、「ニューイングランド風クラムチャウダー」をご紹介します。
では、つくり方。あさりは砂抜きして洗います。春につくるなら、そら豆も一緒に。うっすらとした緑色が何とも春らしい装いにしてくれます。サッとゆでて薄皮をむいておきましょう。
たまねぎ、セロリ、ベーコンはそれぞれ1cmの角切りに。じゃがいもは煮くずれるので少し大きめの角切りにします。大事なのはねぎ。リーキの代用ですが、これが独特の香味を出してスープのうまみを引き立てます。
鍋にあさりと水を入れてふたをし、口が開いたらすぐにざるに上げ、蒸し汁とあさりを分けましょう。半分は殻から身を取り出しておきます。あさりの殻は盛りつけるときにかさばるので半量出しておくとちょうどいいですよ。
別鍋にバターを溶かしてベーコンを炒め、たまねぎ、ねぎ、セロリをしんなりとするまで炒めて甘みと香りを出します。じゃがいもを加えてざっと炒めたら、あさりの蒸し汁を少量加えます。あさりの蒸し汁だけで仕上げたいので、水は加えません。
ふたをして弱火で10分間。貝のうまみをしっかり効かせ、野菜の甘みも引き出します。じゃがいもが柔らかくなったら、小麦粉をなじませながら炒め、残りのあさりの蒸し汁も加えます。ここでスープがとろみを帯びます。とろみがつくと野菜に火が通りにくくなるので、小麦粉を入れるまでに野菜が柔らかくなっていることが大事です。
牛乳を加えてサッと煮立て、そら豆を加えたら、最後に生クリームでコクをプラス。あさりを戻してアツアツに温めて、さぁ、春らしいクラムチャウダーの完成です! ロメインレタスの「シーザー風のサラダ」を添えてさらに春っぽく。でも、私にとってはあの冬のニューヨークみたいに極寒の日にこそ思い出す料理なのだけど……(笑)。
※詳しい分量とつくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理ビギナーズ』2019年5月号より

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