久保利明王将と今泉健司四段の激闘から次の一手

初出場ながら、第68回NHK杯を堂々と勝ち進んだ今泉健司四段は、3回戦で尊敬する久保利明王将と戦いました。準々決勝は、20代が2人、30代が1人、残る5人が40代という構成。準決勝では、なんと全員40代となりました。
一般的に早指しの将棋は若者の領分。その早指しのNHK杯でベスト4がすべて40代で優勝経験者がそろいました。決勝戦では、新記録も生まれました。
戦いを見守っていた方も、ここではじめて目にする方も、次の一手形式でお楽しみください。

■3回戦 第6局(1月13日放送)

先手 久保利明 王将 × 後手 今泉健司 四段
藤井聡太七段、深浦康市九段を連破して勝ち上がった今泉四段。その快進撃を止めたのは、振り飛車の雄が放った渋すぎる一手でした。

解答 ▲7三桂
問題図から自然に▲8五飛と走るのは、△7四飛(A図)とされて先手不満。以下▲8一飛成と攻め合っても、△7五飛▲5一竜△7八飛成と金を1枚多く取られて失敗。単純な攻め合いではなかなかうまくいきません。
久保王将が指したのは、さばきのアーティストらしからぬ▲7三桂(解答図)。いかにも重たい桂打ちですが、これが相手の大駒を押さえ込む好手でした。
実戦は△3三角と目先を変えたものの、先手だけ飛車を成り込む展開となり、久保王将がそのまま勝ち切りました。


※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK将棋講座』2019年5月号別冊付録「第68回NHK杯戦 激闘の軌跡」より

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