3人の永世名人
- 左/森内俊之九段、右/谷川浩司九段 撮影:河井邦彦
第68回NHK杯戦3回戦第1局は、森内俊之(もりうち・としゆき)九段と谷川浩司(たにがわ・こうじ)九段という永世名人資格者同士の対局となった。鈴木宏彦さんの観戦記から、序盤の展開を紹介する。
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■永世名人のそろい踏み
十七世名人資格者の谷川が十八世名人資格者の森内と戦い、その対局を十九世名人資格者の羽生善治竜王が解説する。3人の永世名人のそろい踏み。なんとも豪華な顔ぶれである。対局日朝の控え室は緊張感に満ちていた。羽生竜王にはNHKテレビの密着取材がついていて、全員主役の雰囲気である。
▲7七銀は矢倉模様の出だしだが、谷川は△7四歩(1図)と突いて急戦含みの駒組みを進める。これが現代の矢倉だ。対する森内は素早い▲4六角(2図)で後手の駒組みを牽制(けんせい)する。
■谷川の積極策
過去の対戦成績は森内の34勝28敗。NHK杯戦の対戦は2000年代前半に3度あって、森内の2勝1敗。そのうち1局を本局と同じ羽生竜王が解説したそうだが、谷川は「全く覚えていません」と言っていた。
無理もない。2000年代前半は、谷川がこの2人と始終タイトル戦で戦い、ライバルとして張り合っていた時代だ。NHK杯戦で両者が対戦するのは13年ぶりになる。
「積極的に行く予定。△3三桂から△4五銀も無理かと思ったが、やってみた」と谷川。
■玉をにらむ角
解説の羽生竜王は谷川の12手目△7三桂を見て、「初めてかも。前例ないでしょう」と言った。調べてみるとそのとおり。当然ながら、鋭い。
3図からの▲6八角に△3六銀で後手は一歩得に成功した。
「この歩をあとで攻めに使えればと思っていた」と谷川。ただ、問題は後手のここからの駒組みだ。攻めに出た銀をどう収めるか、かなり構想は難しい。
谷川が示した解答は4図だった。4四の角で、ずばり先手玉をにらむ。「なるほどー」と羽生竜王。
※投了までの棋譜と観戦記はテキストに掲載しています。
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK将棋講座』2019年2月号より
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■永世名人のそろい踏み
十七世名人資格者の谷川が十八世名人資格者の森内と戦い、その対局を十九世名人資格者の羽生善治竜王が解説する。3人の永世名人のそろい踏み。なんとも豪華な顔ぶれである。対局日朝の控え室は緊張感に満ちていた。羽生竜王にはNHKテレビの密着取材がついていて、全員主役の雰囲気である。
▲7七銀は矢倉模様の出だしだが、谷川は△7四歩(1図)と突いて急戦含みの駒組みを進める。これが現代の矢倉だ。対する森内は素早い▲4六角(2図)で後手の駒組みを牽制(けんせい)する。
■谷川の積極策
過去の対戦成績は森内の34勝28敗。NHK杯戦の対戦は2000年代前半に3度あって、森内の2勝1敗。そのうち1局を本局と同じ羽生竜王が解説したそうだが、谷川は「全く覚えていません」と言っていた。
無理もない。2000年代前半は、谷川がこの2人と始終タイトル戦で戦い、ライバルとして張り合っていた時代だ。NHK杯戦で両者が対戦するのは13年ぶりになる。
「積極的に行く予定。△3三桂から△4五銀も無理かと思ったが、やってみた」と谷川。
■玉をにらむ角
解説の羽生竜王は谷川の12手目△7三桂を見て、「初めてかも。前例ないでしょう」と言った。調べてみるとそのとおり。当然ながら、鋭い。
3図からの▲6八角に△3六銀で後手は一歩得に成功した。
「この歩をあとで攻めに使えればと思っていた」と谷川。ただ、問題は後手のここからの駒組みだ。攻めに出た銀をどう収めるか、かなり構想は難しい。
谷川が示した解答は4図だった。4四の角で、ずばり先手玉をにらむ。「なるほどー」と羽生竜王。
※投了までの棋譜と観戦記はテキストに掲載しています。
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK将棋講座』2019年2月号より
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