個性を生かしてシンプル調理 夏野菜のファーム・キャニング

撮影:鍋島徳恭
西村千恵さんは、神奈川県にある「森と畑の学校」で「ファーム・キャニングスクール」を主宰しています。そこでは、年間を通して参加者が無農薬・無化学肥料で野菜を栽培し、季節ごとに畑で収穫できたものを瓶詰にします。
「畑で過ごした時間の記憶を瓶に詰めて、持ち帰ってほしいんです。それを食卓で開けたとき、思い出がよみがえるでしょう?」
スクールと並行して行っているのが、プロの有機農家の野菜を使った、瓶詰作りと販売です。材料になる野菜の多くは規格外や虫食いで、販売できないものばかり。作り手と触れ合い、その熱意を知るなかで、これらの“もったいない野菜”をどうにかしたいという思いが募ったそうです。
こうした活動のもととなったのは、オーガニックやフェアトレードの仕事に携わってきた経験でした。充実感を持って働きつつも、都会の生活に不自然さを感じ、葉山に移住。そこで出会った自然の恵みに心を揺さぶられたのです。
ふだん私たちが当たり前のように口にしているものにも、それを育んだ土地があり、作り手がいる。そんな“食卓の向こう側にあるストーリー”を伝えようと、現在の活動を始めました。
それまで取り組んできた、世界の問題に関心を向ける活動も大事だけれど、もっと身近なところでできることもたくさんあるのだと気づいたら、じっとしていられなくなったのだそうです。
「おいしい食卓を囲み、畑を日常に感じながら、人生をより豊かに過ごしてもらえたら……」と西村さんは願います。

■ズッキーニとアーモンドのオイル漬け

グリルしたズッキーニを、オイルと相性のよいアーモンドと一緒にオリーブ油につけました。そのままパスタの具にしたり、肉や魚と炒めたり、煮込み料理に加えても。

[材料]出来上がりの目安=500mlの瓶1本分
ズッキーニ(中くらいのもの)…1本
塩…少々
ニンニク(薄切り)…1かけ分
アーモンド…20g
オリーブ油…100〜150ml
[作り方]
1 ズッキーニは2cm幅の輪切りにする。塩をふって軽くもみ、出てきた水けを切る。
2 フライパンにオリーブ油(分量外)大さじ1を入れて、1のズッキーニを焼く。片面に焼き色がついたら裏返し、ニンニクとアーモンドを加えさらに焼く。
3 ズッキーニの両面に焼き色がついたら、熱いまま瓶に入れ、具がつかるぐらいまでオリーブ油を注ぐ。
※テキストにはナスやパクチー、トマトなどを使ったレシピも掲載しています。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2018年8・9月号 より

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