茶事とは何か

濃茶点前は茶事のハイライト。亭主が心をこめて練る一碗の濃茶を客は分かち合う 撮影:亀村俊二
藪内家の家元襲名披露茶事は2015年6月から2017年12月まで、2年半かけて執り行われました。この「茶事」とはどのようなものなのでしょうか。藪内流宗家14世家元の藪内 紹智(やぶのうち・じょうち)さんに教えてもらいました。

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茶の湯を稽古する、それは自らが茶事を行う術を身につけていくといっても過言ではありません。「お茶の醍醐味(だいごみ)は茶事にある」ともいわれます。
茶事は季節や始まる時刻によって順序が異なりますが、大きくは炭点前、懐石、濃茶、薄茶で構成されています。茶事の種類は「正午の茶事」と呼ばれる正午に始まる茶事が最も正式な茶事とされていますが、朝に行われる「朝茶事」、冬の夜に好んで行われる「夜込(よごめ)の茶事」、その他刻限に定めのない「時外れの茶事」など始まる時間によって分けられています。
正午の茶事でも炉の時期(十一月〜四月)と、風炉の時期(五月〜十月)では順序が違います。炉の場合は、最初に炭点前があります。炉の時期の釜は風炉に比べて大きいですから、湯が沸くのに時間がかかります。そのため釜の湯が沸く時間を利用して、懐石となります。懐石が済むと濃茶、最後は薄茶となります。風炉の場合はまず懐石、その後に炭点前となります。炉の釜に比べると風炉の釜は比較的小さいので沸くのに時間がかかりません。そのため先に述べた順になります。濃茶に続いて薄茶となる順序は炉・風炉とも変わりありません。
では、炉の正午の茶事を例に茶事の流れを追います。受付で記帳を済ませ、寄付待合に通され、その日の連客を待ちます。連客がそろうと白湯が出されます。腰掛待合に降り、亭主の迎え付けがあります。茶室で炭点前があり、それが済むと懐石が出されます。懐石後は菓子が出され、中立(なかだち/炭点前・懐石と濃茶の間に、客が腰掛待合に立つこと)になります。中立の前に客は亭主に対して、濃茶の入席に際し「どうぞ鳴り物でお知らせを」と請います。亭主は銅鑼(どら)を鳴らして客の入席を促します。入席した茶席では濃茶が出されます。濃茶の後は薄茶となります。濃茶の厳粛な雰囲気に比べると薄茶はくつろいだ雰囲気で過ごします。この間二時(ふたとき)を過ぎずと言いますから、四時間を超えないようにします。
■『NHK趣味どきっ!茶の湯 藪内家 茶の湯五〇〇年の歴史を味わう』より

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茶の湯 藪内家 茶の湯五〇〇年の歴史を味わう―家元襲名披露茶事に学ぶ (趣味どきっ!)
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