あなたは上手に言いたいことを伝えられる? 「型」に当てはめるだけで"伝わる"73の方法を解説した一冊

伝え方図鑑 当てはめるだけで「結果」が変わる!コミュニケーション・フレーム73
『伝え方図鑑 当てはめるだけで「結果」が変わる!コミュニケーション・フレーム73』
井手やすたか
SBクリエイティブ
1,870円(税込)
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 誰かに何かをお願いしたいとき、仕事内容を説明したいとき、楽しい雑談をして相手に興味を持ってもらいたいとき、あなたは上手に言いたいことを伝えられますか? 一方的に言いたいことだけ言っても伝わらないし、補足し過ぎてもダラダラと要点を得ない伝え方になってしまう......。"誰かに何かを伝える"って意外と難しいんですよね。

 しかし多くの人が悩む「伝え方」に、もし"型"があったら、少し気持ちがラクになると思いませんか?

「『あなたが今言いたいこと』を『ビジュアル化された型』にパッと当てはめるだけで、『効果的な言い方』に変換される。そうして『得たい結果』を勝ち取る。そんなシンプルな方法で、あなたの役に立つ本になることを目指しました」

 とは、書籍『伝え方図鑑 当てはめるだけで「結果」が変わる!コミュニケーション・フレーム73』の言葉。著者は20年コピーライターをしている井手やすたかさんです。

 同書では、「ビジュアル化された型」が73個解説されており、目的別にどんな伝え方がいいか見つけやすいようになっています。タイトルが「伝え方図鑑」となっている通り、最初から最後まで読み込む必要はなく、図鑑を眺めるように、自分の状況を目次と照らし合わせて必要な型だけを選んで読み進めるだけでOK。当てはめるだけですぐに使えるのがうれしいポイントです。

 ここでは同書で紹介されている型の一部を紹介。まずは「伝え方」の好例としてよく聞く「最初に結論から伝える方法」です。同書によると、この手法が効く場合は、大きく分けて2 パターンあるとのこと。そのうちの1つは「相手が答えを知りたがっているとき」で、「シンプルに結論をまず即答する」ことが大事だと記します。

「"出張、誰が行くことになったの?"という質問に対し......

×デザインの確認なのでデザイナーのAさんが必要→ただ、Aさんはまだ若く責任者になれない→だから、私が責任者として同行することに→結論は、Aさんと責任者の私2人で行くことに

○結論は、Aさんと責任者の私2人で行くことに→デザインの確認なのでデザイナーのAさんが必要→ただ、Aさんはまだ若く責任者になれない→だから、私が責任者として同行することに」(同書では図式化されています)

「具体的には『5W1H=何が、誰が、いつ、なぜ、どこ、どう』と聞かれた場合。後に続く説明がある場合には『結論は』と前置きしてから話すと続けやすくなる」(同書より)

 この手法が効くもう1つのパターンは「つかみのインパクト」がほしい場合です。

「レポートのテーマ『ある工場の生産性の再検討』という会議で......

×『コスト』に関する課題と対策→『原材料』に関する課題と対策→『人件費』に関する課題と対策→結論は、年間の利益を115%に引き上げられる試算です

○結論は、年間の利益を115%に引き上げられる試算です→『コスト』に関する課題と対策→『原材料』に関する課題と対策→『人件費』に関する課題と対策」(同書では図式化されています)

「相手側に具体的に聞きたいことがない場合でも、冒頭に結論を伝えることは以下のような効果を与える。
1、興味のない話でも一気に関心を高める『つかみのインパクト』
2、そのときに伝えたい結論を先に伝えることによる『要約で先を見通せるわかりやすさ』」(同書より)

 このように「最初に結論から伝える方法」でも、相手の立場になって考えてみると、"相手が知りたがっていることを明確に伝えるため"なのか、"相手に関心を持ってもらうため"なのか、という違いがあるようです。

 同書ではそうした「相手の立場になって考えること」こそが最も重要であると何度も繰り返されています。「伝える」と「伝わる」の明確な違いですね。

 そのためには想像力を働かせること、プラス相手をよく知ることも重要になります。同書では「相手が考えていることをあらゆる方法で探ることが大事」としており、その上で相手の視点になって考え、相手が望みそうな優先順位で説明を組み立てるようにとアドバイスします。

 また、「『相手の視点』自体を都合よく想像してしまっていないか?」にも注意が必要。言いたいことだけをペラペラと話してしまいがちな人は、相手の言葉をよく聴くことにもっと注意を向けたほうがよさそうです。

 同書は第1部で「わかりやすく伝わる『伝え型』」、第2部で「相手の行動を変える『伝え型』」、第3部で「言葉を強くする『伝え型』」が解説されています。その中でも著者の井手さんが特に重要な型としてピックアップした「相手視点」の型と「俯瞰」の型と「目的と手段」の型の3つは、あらゆる場面で参考になるので、ぜひ同書を読んで詳細を確かめてみてください。

 伝え方が変われば人間関係はもっと豊かに楽しく変化します。同書を読むと、誰かに何かを伝えるとき、過度に緊張せず、上手に言いたいことをまとめられるようになるはずです。今もし人間関係や伝え方に悩んでいる人がいたら、チェックしてみてはいかがでしょうか。

[文・春夏冬つかさ]

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