類人猿の子孫? 恐竜の生き残り? 謎が謎を呼ぶ「UMA(未確認動物)」の世界
- 『ミステリーチェイサー原田龍二の謎のいきものUMA大図鑑』
- 原田 龍二,TOCANA編集部
- 宝島社
- 1,210円(税込)
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いきなりだが「UMA」という単語をご存じだろうか。正式な名称は「Unidentified Mysterious Animal」。いわゆる「未確認動物」の英語表記から頭文字を並べた和製用語であり、ネッシーやビッグフットなどの総称として使われている。ときには話題作りを目的にした捏造写真やでっちあげ動画が出回ることもあるが、どこか神秘性すら感じさせる未確認動物は人々の好奇心を刺激してやまない。
そんなUMAをかわいらしいイラストとともにピックアップしたのが、今回紹介するTOCANA編集部監修の『ミステリーチェイサー原田龍二の謎のいきものUMA大図鑑』(宝島社)。タイトルからもわかる通り、俳優の原田龍二氏が独自の視点でUMAについて解説した1冊だ。俳優という職業からはあまりUMAと接点を持たないようにも感じられるが、原田氏はミステリーチェイサーになった由縁を以下のように綴った。
「僕は仕事を通じてこれまでたくさんの"不思議"と出会ってきました。UMAを探しに旅をしたこともあります。そんなこともあり、世の中にあふれるミステリーが大好きになりました」(本書より)
それでは同書にセレクトされた魅力あふれるUMAたちを覗いてみよう。まずは「もっとも実在率が高い」とされ、なんとインド軍が公式にその存在を発表した雪男こと「イエティ」から。世界有数の標高を誇るヒマラヤが目撃地点で、巨大なゴリラのような姿をした2足歩行の生き物だという。大きさは1.3~3mとばらついているものの、長い体毛に覆われているのが特徴の1つ。その正体は絶滅した大型類人猿・ギガントピテクス説が有力視されているだけに、生存が確認されれば歴史的発見となるに違いない。
イエティのような獣人型UMAは、驚くべきことに日本でも目撃されている。広島県比婆山に棲む「ヒバゴン」は全身を茶色の毛が覆い、大きさは1.5mと成人の平均身長よりやや小柄。原田氏いわく昭和生まれの人なら1度はその名前を聞いたことがあるそうだが、残念ながら1974年を最後に目撃情報は途絶えてしまった。
「1970年代といえば高度経済成長期で、多くの野山が切り崩され、開発されました。ひっそりと暮らしていた日本のUMAたちは行き場を失ったのでしょう」(本書より)
住処を失ってしまうUMAがいる一方で、地球上にはヒマラヤのような秘境がまだまだ多いのも事実。そのような意味では、コンゴ共和国の深い森に囲まれたテレ湖も同じだろう。人が容易には近づけない湖で目撃された「モケーレ・ムベンベ」は、長い首を持つ4足歩行の恐竜型UMA。絶滅したはずの恐竜が生き残っている可能性を考えると、実にロマンを感じさせる存在ではないだろうか。過去にその肉を食べた村人が死亡する事件も起きた「いわくつき」の生き物ではあるものの、原田氏はモケーレ・ムベンベへの強い思い入れを明かしている。
「僕はこのUMAが一番好きです。不思議な世界への興味を持ったきっかけのひとつでもある『幻の恐竜を見た』という本にモケーレ・ムベンベが紹介されていました。機会があればネッシーのように現地に行って捜索したいです」(本書より)
水の中に潜むUMAとしては、「人魚伝説」も見逃すことはできない。アラスカの海で2004年から2007年にかけて目撃が相次いだ「クァルパリク」は、ヒレと長いしっぽを生やしているのが特徴。クァルパリクに海中へ引きずり込まれて行方知れずとなった被害者が出ている一方で、アラスカという過酷な環境を考慮した原田氏の推測は意外にも否定的だ。
「極寒の地域で海と暮らす人たちだからこそ、このような話が作られたと思います。(中略)不幸な事故をクァルパリクのせいにして、傷を癒しているのかもしれません」(本書より)
再び日本のUMAに目を戻すと、同書では「ツチノコ」が日本一有名なUMAとして紹介されている。確かにその姿を見たことはなくとも、手足のない膨れた胴体と細いしっぽを持つヘビのイメージが容易に浮かぶのではないか。目撃情報が最も多い岐阜県東白川村では捕獲に向けたイベントもおこなわれ、高額な懸賞金がかけられているほど。原田氏は「獲物を丸飲みしたヘビの見間違え説」を示唆したが、果たしてその正体は――?
携帯カメラの普及や通信技術の発達により、未確認動物の目撃情報が増加している現代。「UMAなんていない」と頭ごなしに否定せず、たとえば「ネッシーのような巨大生物が生存できる環境なのか」「いないと言い切れる科学的根拠は何か」と考えることも重要だろう。世界各地に散らばるUMAを追い求めつつ、豊かな想像力を手にしてほしい。