古今のファンタジー作品に登場する魔法使いたちの料理が作れるレシピ集
- 『魔法使いたちの料理帳』
- オーレリア・ボーポミエ,田中 裕子
- 原書房
- 2,640円(税込)
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世の中にレシピ本はたくさんありますが、これほどファンタスティックでワクワクさせられる一冊はないかもしれません。だって、今回ご紹介する『魔法使いたちの料理帳』は、古今のファンタジー作品に出てくるごちそうを実際に家庭で作れるように紹介しているレシピ集なのですから!
題材となっているのは、ファンタジー作品の代表ともいえる「ハリー・ポッター」シリーズや『ナルニア国物語』、ディズニー映画でも広く知られる『アラジンと魔法のランプ』『美女と野獣』『白雪姫』『メアリー・ポピンズ』、マーベルのヒーロー映画『ドクター・ストレンジ』やアメリカのテレビドラマ『奥さまは魔女』、そしてゲーム作品の『ダンジョン&ドラゴンズ』や『ゼルダの伝説』など実に多種多彩。皆さんが小説や映画で「この料理、どんな味なんだろう?」と想像をふくらませたメニューがきっと一つは......いえ、もしかしたらいくつも出てくるかもしれません。
たとえば、ハリー・ポッターの小説にたびたび登場する「ステーキ&キドニー・パイ」。イギリスではおなじみの家庭料理で、ホグワーツ魔法魔術学校に在籍していたハリーも大好きな一品ですが、日本に住んでいる私たちにとってはピンと来ない人がほとんどではないでしょうか。
「キドニー」とは英語で「腎臓」のこと。レシピを見るに、牛の臓物を煮込んでパイで包んだものと言えそうです。なので、材料にはパイ生地や牛ステーキ肉などのほかに「牛の腎臓」の文字が......。「牛ひき肉でも可」と書いてありますが、せっかくなら本場の味さながらに本格的に作ってみるのはいかがでしょう。本であこがれた料理を自分で作って食べるだなんて至福のひととき。ハリポタファンとしてはチャレンジしてみる価値はきっとあると思います!
また『白雪姫』からは、魔女に化けた継母が白雪姫に食べさせた「毒リンゴ」のレシピも......! 作り方自体は簡単ですが、キャラメリゼした砂糖に青い食用色素と黒い食用色素を垂らすところなんかは、自分が毒を混ぜている魔女になった気分を味わえそうです。
本書はレシピ本として使えるのはもちろんのこと、純粋に読み物として楽しめるのも大きな魅力。レシピ一つひとつに作品との関係性などが説明されていて、読んでいるだけでも空想の世界が広がります。また、作り方にも「『涙よ止まれ』の呪文をかけ、タマネギの皮をむいてみじん切りにする」「まず、おまえに一番似合う、お気に入りのアクセサリーを身につけなさい(呪いのマント、悪魔のステッキなど)」なんて書かれていてとってもユニーク。ついつい細部まで読み耽ってしまいます。
世のファンタジー好きをトリコにしてやまない本書。大好きな作品と同じように、この本もページを開けば、皆さんの忙しくわずらわしい日常からほんのひととき、ファンタジーあふれる別世界へといざなってくれることでしょう。