超人気カウンセラーが明かす、SNSで心がざわつくときの対処法

負の感情を捨てる方法 「最悪」は0.1秒で最高に変わる
『負の感情を捨てる方法 「最悪」は0.1秒で最高に変わる』
中島輝
朝日新聞出版
1,150円(税込)
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 6カ月先まで予約が埋まっているという人気心理カウンセラーの中島輝さん。自身が35歳まで約10年間の引きこもり状態を経験し、回復したのち、日本メンタルヘルス協会で心理学を学び、自らの体験に立脚したオリジナルセラピーを数多く開発しています。

 現在は、カウンセラーの研修・講演・育成にも尽力する傍ら、昨年11月には『負の感情を捨てる方法 「最悪」は0.1秒で最高に変わる』(朝日新聞出版刊)も出版するなど、書き手としても活躍しています。

 今回は、そんな中島さんにお話を伺いました。

*  *  *

――アドラー心理学や、サイコセラピー、コーチング、さまざまな心理学を修得された中島さんですが、心理カウンセラーを目指したきっかけは?

私自身、もとは"カウンセリングを受ける立場"でした。小学校4年生のときから分裂症・躁鬱症・パニック障害・統合失調症・強迫性障害・不安神経症などの精神疾患や、認知症・過呼吸・胃潰瘍・大腸炎・円形脱毛症・斜視などの症状に苦しみました。

精神状態も悪化して、外に出られなくなり、25歳から35歳まで約10年間引きこもり状態。その間、自殺未遂を何度も繰り返し、いつ死んでもおかしくない状態だったのですが、それでもそんな私を励まし、支え続けてくれた人がいました。

その人のおかげで、死の淵まであと一歩、というところで、この世にとどまることができたんです。人間は、たったひとりでいい、寄り添ってくれる人の存在によって、命を救われることがあるんです。だから、自分も誰かにとって、そのたったひとりの存在になれたらと思ったのが、心理カウンセラーを目指したきっかけです。

――絶望の淵から回復した中島さんの半生に勇気づけられる方も多いでしょうね。中島さんのように自分の意思で変われる人もいる一方で、変わりたいと思ってもなかなか変われない人もいます。

私は、「全ての人間は変われる」と思っているんですよ。変われない人と、変われる人に差があるとすれば、自己認識と自己受容ができているかどうかの違いです。つまり、今の自分の状態を、きちんと受け止めて、そして受け入れることができた人は変われる。一方、変われない人というのは、いつも誰かのせいにしたり、受け身の姿勢だったり、自分を認識できずにいるんでしょうね。

――ただ精神的になんらかの疾患を抱えた方は、自分の状態を受け止められないケースも多いのでは?

そうですね。実は、私のところに来る方は、本人の意思でと言うよりは、家族からの依頼で来る方も多いんです。本人は、「こんなところ来たくもない」という場合も多々あるので。そこで、自分のカウンセリングの限界を感じたわけです。

――どのような限界ですか?

来ていただけたら、なにかお話ができるけど、来ていただけなければなにもできない、という意味です。そこで、本を書くことを考えた。本だったら手に取って読んで、何か感じてくれる場合もあるでしょう。1冊の本がきっかけで、心に火がつくこともありますしね。あとは、そもそも私のカウンセリングを受けたくても行けないという人もたくさんいるので、活字を通して、気持ちを届けたいという思いもあります。

――中島さんご自身、"1冊の本がきっかけで、心に火がつく"という経験をされたことはあるのでしょうか?

ありますよ。私自身、苦しんでいた時期には、藁にもすがる思いで、あらゆる心理学書や、哲学書を読み漁りました。自分の経験を振り返っても、活字には大きな力があると感じています。たとえば、母親から面と向かって、「あなた大丈夫?」って言われたら、カチンときて「何がわかるんだよ」と反発してしまうこともあるでしょう。身近な人に言われると、素直に気持ちを受け取ることができなくなってしまうんですね。

だけど、同じ言葉でも、自分が尊敬している人や、人生経験を積んだ年配の人から言われると、素直に耳を傾けられる、納得して受け止められる場合もある。それと同じように、活字は固定観念がないので、スッと入りやすく、受け入れることができる。そして気づくと、その本に心が揺さぶられる......私自身、そのような経験を何度もしています。

――本書ではSNSを使っているときに生じる「マイナスの感情」についても書かれています。

たとえば、FacebookやInstagramで、高級レストランで食事を楽しんだり、海外旅行に行ったりしているリア充な人の投稿を見て、「いいね!」を押しながらも、実は心がざわついて、嫉妬心や劣等感でイライラしてしまう、という経験は(SNSをやっている人であれば)誰しもあるでしょう。

そういう場合には、まず、怒り、悲しみ、妬みというマイナスの感情の存在を、頭から否定せずに、認めてほしいと思います。

羨ましいと感じる自分がいるなら、一体自分はどのようにすれば、そのような羨ましいと感じる自分でなくなるかを考える。すると自ずと、羨望や憧れの対象に近づく努力をすればいいことに気づくはずです。嫉妬だけでなく怒りや悲しみといったネガティブな感情は、自分の成長のステップの材料にできるはずなんです。半径数メートルの狭い世界で完結してしまうのではなく、自分自身の欲望を客観的に見て、感情をコントロールできるといいでしょう。

――負の感情にとらわれない、振り回されないで生きる、ということですね。

誰だって、周囲の影響を受けて、感情が大きく揺れ動くときがあると思うんです。でも、どんなときでも「人生の主人公は自分」だということを忘れないでいてほしいですね。そしてこの本を読んで、どんな感情も自分でコントロールできるんだよっていうのをわかっていただけたらなあと思います。そしてその人らしい人生を歩んでいただければ、著者としてこんなにうれしいことはありません。


<プロフィール>
中島輝(なかしま・てる)
心理カウンセラー、国際コミュニティセラピスト協会代表。5歳で里親の夜逃げという喪失体験をし、小学4年から分裂症・躁鬱病・パニック障害・統合失調症・強迫性障害・不安神経症・認知症・過呼吸・胃潰瘍・大腸炎・円形脱毛症・斜視に苦しむ。25歳から35歳までの10年間、実家に引きこもる。自殺未遂を繰り返す状態の中、独学で心理学やセラピーを学び、自ら実践し、回復。日本メンタルヘルス協会で心理学を学んだほか、100近くの心理学やセラピー、特にアドラー心理学、フランクル心理学、カラー心理学、NLP、コーチング、ヒーリング、ボディーワークを独学で修得し、数多くのオリジナルセラピーを開発。近著に『トラウマが99%消える本』(すばる舎刊)など。

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