フーゾク店で働くママが急増!? 性風俗のいびつな現場とは?

性風俗のいびつな現場 (ちくま新書)
『性風俗のいびつな現場 (ちくま新書)』
坂爪 真吾
筑摩書房
886円(税込)
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 各サイズのオムツ、さらに「水分99%のおしりふき」のストックも十分。ミルクや離乳食をつくるための水は「赤ちゃんと家族のやさしい水」を使用。部屋の床は安全のためコルクタイルを敷き、乳幼児用の椅子・バウンサーも完備。おもちゃはプラスティック製のものばかりで毎日消毒を行うなどノロウィルス対策も徹底。ベビーシッターは毎日2人が出勤しており、一人につき二人の子どもの面倒をみる......。

 託児所として万全な設備を整えているこの場所、実は、とある性風俗店の待機所兼託児所だと聞くと驚く方もいるかもしれません。

 一般社団法人ホワイトハンズ代表理事・坂爪真吾さんの著書『性風俗のいびつな現場』では、こうした風俗業界の知られざる側面を紹介。同書によると、最近では、若い主婦やシングルマザー、未婚妊婦の性風俗店への応募が少なくないといいます。そうした背景から、彼女たちが働きやすい環境を用意すべく、このような託児所をマンションの一室に設けているのだとか。

 「現実」に即した風俗店の素晴らしい対応だと言えますが、一方で小さな子どもを持つ多くの母親が風俗店で働いているという「現実」には愕然とします。

 働くママが、性風俗業界で働くには様々な、そして個別な理由が考えられますが、大きな背景としては貧困問題があるでしょう。子どもを養うため、「それなり」の給料を得るには風俗店で働かざるを得ない......。彼女たちにとって、風俗で仕事をすることは、最後に行き着く先と言えるかもしれません。

 しかし、現在の風俗業界、実は"狭き門"だといいます。

 坂爪さんの調査によると、実際に風俗店での面接の採用率はかなり低いとのこと。お店のなかには、「10人中、1、2人程度」しか採用しないというところもあるとか。当然、店側は採用時に、女性の容姿や仕事に対する姿勢を問うわけですが、多くの場合はその条件に満たないといいます。また、未経験者よりも経験者が優遇されることもあり、採用率は非常に低いものになっているようです。

 つまり、本人が覚悟して性風俗の世界に飛び込もうとしても、働きたくても働けない女性が大勢存在するという現実があるというのです。結果、より条件の良い性風俗店での勤務は難しくなり、"風俗の墓場"とも言える激安店に問い合わせるしかなくなるといいます。

 性風俗店で働くのも女性の自由意志。強制的ではないなら問題はない。そういう意見もあるかもしれませんが、そういう選択しか選べない女性が増えているとしたら、その社会構造そのもののおかしさを是正すべきなのではないでしょうか。

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