目指せ『本屋大賞』?-書店員と編集長が決める『雑誌大賞』が決定
雑誌100誌の編集長と、100名の書店員の投票によって決定する『雑誌大賞』。その第1回目となる今年の受賞雑誌が、3月28日に決定しました。
大賞に選ばれたのは、村上春樹のロングインタビューを掲載した新潮社の『考える人』(2010年夏号)。作家と編集者が箱根で2泊3日をともにして徹底的に対話を行ない、他のメディアでは引き出すことができなかった様々な逸話を紹介。その迫力ある誌面が、編集長と書店員両者の高い評価を集めました。
また、『雑誌大賞』では"この一冊は凄かった"という雑誌に贈られる「大賞」だけではなく、世の中の流行に関して"その流行元はこの雑誌だ"という雑誌に贈られる「TREND MAKE MAGAZINE賞」や、新たに創刊された雑誌の中で最も世の中を賑わせた雑誌に贈られる「雑誌新人賞」という3つの賞を用意。それぞれの受賞雑誌も発表されました。
「TREND MAKE MAGAZINE賞」に選ばれたのは、光文社の『JJ』による『おしゃP』。これは「おしゃれプロデューサーズ」の略称で、「日本の『カワイイ』を世の中に発信し続けるガールズ集団、おしゃれプロデューサー」を指す造語です。ファッション関連の業種で働く、輝いている女子を対象としたものであり、デザイナー、プレス、バイヤー、ショップ店員など様々な職種の人を対象としています。関連業界と積極的に関わっていこうとする試みが、多くの編集長の支持を集めました。
「雑誌新人賞」に選ばれたのは宝島社の『GLOW』。「40代に市場があるのか?」と囁かれたなかで、"40代女子"というキャッチフレーズのもとに創刊された同誌。創刊キャンペーンが各種メディアで取り上げられるなど、新創刊誌の中でも特に話題となりました。2号目以降の販売数も好調をキープし、審査員の75%という圧倒的な支持を得ての受賞となりました。
近年、不況が叫ばれる雑誌業界を盛り上げていこうと設立された同賞。『本屋大賞』がベストセラーへの近道となったように、受賞雑誌が新たな読者層を切り開き、雑誌業界全体を活性化させるきっかけとなることが期待されています。
2011年1月から同年6月に刊行される雑誌を対象とする『第2回雑誌大賞』は、今年9月に発表される予定です。