お風呂の達人
- 『お風呂の達人 バスクリン社員が教える究極の入浴術』
- 石川泰弘
- 草思社
- >> Amazon.co.jp
- >> HonyaClub.com
- >> HMV&BOOKS
最近、注目されている健康法に「体温を上げる」というものがあります。そして、その「体温を上げる」もっとも簡単な方法として挙げられるのが「入浴」。そんな「入浴」にまつわる健康法について、株式会社バスクリンの広報責任者・石川泰弘さんが書籍『お風呂の達人』で語っています。
石川氏は「疲れにくい身体をつくる」ために「湯温」「湯量」「入浴時間」の3つに注意すべきだと言います。必要な湯温は40度で、湯量は肩までどっぷりつかれるくらい。入浴時間はゆっくりと20分ほど。
この健康法は、入浴後にどう過ごすかが重要なポイント。まず、お風呂から上がったら、タオルなどで身体を拭いて、ゆっくり時間をかけて体温を下げましょう。熱いからといってエアコンなどの冷風にあたってはいけません。額が軽く汗ばむくらいが良いそうです。汗がなかなかひかなくて、イライラするくらいが調度いいとか。
実はこのときに、私たちの身体のなかには、ヒート・ショック・プロテイン70(HSP70)というたんぱく質が出ています。お風呂に入って体温が上がり、私たちの身体は体温上昇をストレスと感じます。HSP70は、ストレスに対する防御タンパクとして誘発されるもの。
HSP70は、身体の傷んだ細胞を包括的に修復してくれます。そして、修復できないほど傷んだ細胞は、静かに殺してくれるのです。また、HSP70の優れた点は、特定の病原体への抗体ではないという点。様々な病原体に対して効果があるので、HSP70が発生すると、身体全体が強くなるのだと石川さん。
HSP70には他にも利点があります。うまく代謝されないと疲労の原因になってしまう乳酸の発生を遅くしてくれますし、免疫のモノサシといわれている「ナチュラルキラー細胞」を活性化してくれるのです。
ただし、ナチュラルキラー細胞の働きがピークになるのは、入浴の2日後。細胞の活性化は入浴直後から始まりますが、私たちの身体には約60兆もの細胞があるため、活性化のピークは、2日後になるというのです。
活性化はピークを過ぎると5日後には沈静化するといわれています。ですから、週2回の入浴法を取り入れれば、ヒート・ショック・プロテインがつねに私たちの細胞を活性化してくれることになるのです。
忙しいなか、シャワーだけで終わってしまう入浴スタイルの人も多いでしょう。ですが、疲れを確実にとるためには、やはりゆったりした入浴が肝心なようです。