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【生島淳さんは、活字のスポーツで大きくなった】【アノヒトの読書遍歴】 生島淳さん(前編)
生島淳さんは、活字のスポーツで大きくなった
「スポーツ専門誌を読み始めたのは小学校一年生の頃から。74年の『ラグビーマガジン』は、いまだに家に持っています。試合を見た後に読んで復習するといった感じで、子供の頃から読むスポーツというのも随分楽しんできましたね」
この、ラグビーマガジンの最年少読者だったかも知れない少年は、現在スポーツジャーナリストとして多方面で活躍する生島淳さん。高校野球も大好きで、日本の地名は高校野球の新聞記事で覚えたという、活字のスポーツ大好きっ子だった。そんな生島さんの思春期のアイドルは、女子バレー選手。
「81年にバレーボールのワールドカップが日本で開催され、三屋裕子さんという素晴らしい美人選手が登場したんです。もちろんファンクラブに入りましたよ。当時は、立木義浩さん撮影の『月刊バレーボール』の選手の表紙をものすごく楽しみにしていました」
女子バレーを愛する一方、映画にもハマった。中1から高3までの6年間は、毎年100本の映画を観て、感想を全てノートに書き付けた。今の"書く"という仕事の原点。そのきっかけとなったのが、今はなき映画雑誌『ロードショー』の一頁巻末広告でピンときた、小林信彦さんの映画コラム集『地獄の観光船』だった。
「とにかく素晴らしかったですね。映画を観て感想を書いていくというのは、その本を読んでから始めたんです。と、同時に小林さんの本を全部読もうと決めたんです」
小林信彦さんの著作を全て入手したのは、それから約30年後となる去年のこと。
「最後に残っていたのは『汚れた土地』。数万円もしたんですが、ようやく入札で勝ち取ることができて......」
ちなみに小林信彦さんは、現在も週刊文春でコラムを持たれている多作の作家である。エッセイやコラム、小説など、書かれた本は百冊を優に越え、昔のものは絶版になっているものも。全て集めるのはたぶん本当に大変だ。
「小林さんのコラムには、歴史に基づいたしっかりとした知識と、ぶれない視点が必ずある。ジャーナリスティックな部分がすごく強いんです。そういった小林さんの"視点"は、今も僕の体の中に染み込んでいて、ジャーナリストとしての元になっている気がします」
基本的に本の再読はしない方だが、小林さんの著作、特に『小説世界のロビンソン』は、今でも時々読み返すという生島さん。生島さんにとっての小林信彦は、原点であり原典。そんな存在なんだろう。
「あと小林さんって、ずっとアイドル好きなのもいいんです。もう80歳近いのに。貫地谷しほりとか堀北真希あたりも、早くから目を付けてるんですよ。僕もこの先、色気は失わずにいたいなぁと思いますね」
〜後編は、生島淳さんの大人時代のバイブルをお披露目。お楽しみに!〜
生島淳(いくしま・じゅん)
スポーツジャーナリスト。1967年、宮城県気仙沼市生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、博報堂勤務と並行してライター活動を行い、1999年に独立。著書に『駅伝がマラソンをダメにした』『慶応ラグビー「百年の歓喜」』『スポーツを仕事にする!』など。他、キャスターやラジオパーソナリティなど幅広く活躍中。
取材・文=根本美保子
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