ヘソは口以上に雄弁?~『FBI式 人の心を操る技術』

FBI式 人の心を操る技術 (メディアファクトリー新書)
『FBI式 人の心を操る技術 (メディアファクトリー新書)』
ジャニーン・ドライヴァー,高橋結花
メディアファクトリー
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 FBIの新人を、何千人も手練の捜査官に育て上げた講師のジャニーン・ドライヴァー氏。彼女は仕草から人の心を読み、自分の仕草で相手を操るプロともいえる講師です。

 彼女が話す法則の一つに「ヘソは雄弁である」というものがあります。

 ヘソの法則は1930年代にW・T・ジェームズによる研究で発見されました。彼が行ったのは回答者に一連の写真を見せて、あらゆるポーズに当てはまる心境を350の選択肢のなかから選ばせる実験。その結果、ヘソの向きが興味のレベルを示すカギを握っていることを、ジェームズは突き止めたのです。

 彼はヘソの向きが「興味」「無関心」「興味の強まり、信頼」「緊張、興味のわずかな減退」の4種の感情を表すと分析。30年後、アルバート・メラビアン博士はジェームズの研究をさらに進化させ、ヘソの向きがその人物の意思を読み解く際の、最も大切な要素だと記しました。

 ヘソは私たちの気分を映し出し、心情を露呈させてしまうのだそうです。ヘソを突然、扉や出口に向けたり、会話の相手から逸らせば、「この会話を終わらせたい、もうこの場にいたくない」と無意識にシグナルを送ったことに。しかし多くの人々はこの法則の威力を知らず、ヘソが自分の本音をバラしているとは思いもよりません。したがって、あなたがヘソの法則を使いこなせるようになれば、相手の心を読む正確さは飛躍的に伸びるというわけです。

 ビル・クリントン元大統領は、一緒にいる相手を気持ちよくくつろがせ、心を開かせる名人として有名です。会って間もない初めての相手でも、それが可能だといいます。カギは出だしにあります。たとえ一般人であっても、クリントンは初めて会った相手には必ず"ヘソの法則"に従って接しているそうです。ヘソを向け丁寧に握手し、温かい微笑みを浮かべます。そしてここからが彼の真骨頂。クリントンは握手した相手の手を離し、次の相手へ向こうとしながら、目線だけほんの1秒、前の握手の相手に残すのです。まるで「名残惜しい」と訴えるかのように。

 面白いことに、妻のヒラリー・クリントン国務長官はそれとほぼ反対の手法をとっています。彼女は大勢の人々が待っている場合、右手でごく軽く相手の手に触れながら、左手でも別の人と握手していることが多いといいます。

 こうして夫婦の仕草を見比べ、それぞれの人柄に対する評判を思い出してみると、自分の仕草をどう変えたいか、あなた自身の方向性も見えるのではないでしょうか。

 ヘソを向き合わせた温かな握手で、友好関係が生まれるスピードは天文学的に速くなります。一方、ヘソをそっぽへ向けた心のこもらない握手は、冷たい態度をとるのと同じ。職場、家庭、ランチの席...、あらゆる場所で人々のヘソに注目してみましょう。相手としっかりヘソを向き合わせているとき、深い絆を感じたでしょうか? あるいは逆に対決している気分になったでしょうか? 誰かと話しながら自分のヘソの向きをいろいろと変えて、会話がどう変化するかを試してみるのもいいかもしれません。

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