連載
続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!

第11回 『猫なんかよんでもこない。』つるの剛士さん&ケニア・ドイさんインタビュー!

映画『猫なんかよんでもこない。』は、大ヒット上映中です!

「友だちがいない方でも猫の魅力はわかる! 猫好きじゃなくても楽しめます!」と爽やかに語る、俳優・つるの剛士。そして近年、"猫"カメラマンとして注目のケニア・ドイ。ともに猫好きという彼らが参加した映画が、映画『猫なんかよんでもこない。』だ。映画情報連載「続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!」11回目は、現在全国で感涙の嵐が止まらないというニャンコ映画について。猫好きでも猫が苦手でも、日常に根差しているさまざまな人生のテーマについて思わず再考してしまう。その本作の魅力についてうかがった。


──おふたりとも本作に関係なく、そうとうな"猫好き"とうかがいました。
 
つるの:僕は高校生の頃から、ずっと猫を飼っています。猫は犬と違って自分の世界を持っていて、自分の時間を持っているんです。犬はご主人様を待って、かまってかまって、遊んで遊んでなんですが、猫は人間との距離感を保っているので付き合いやすいんですよ。

ドイ:結婚してから猫が好きになりました。猫は犬と違ってフォルムが似ていて、犬は犬種によって違うけれど、猫はワンパターン。猫好きは、どの猫も好きなんですよ。犬好きは、自分が飼っている犬以外はあまり興味がないと聞いたことがありますが、猫好きは猫そのものが好きなんですよね。

つるの:べったりじゃなくて、基本的にはほかの世界にいて鑑賞しない。甘えてくる時は甘えてくるけれど、ちゃんと距離感を保てる存在だから楽チンなんです。犬もかわいいし好きで実際に飼っていますが、彼女だと面倒臭い(笑)。そういう感じですね。


──猫は気まぐれというので、撮影中は"猫待ち"が多かったのでは?
 
つるの:撮影は大変でしたね。本当に気紛れで、言うことを聞かない。実際に猫待ちが発生して、僕は寝ているシーンで本当に寝ちゃって。「いびき、うるさいんで起きてください」って怒られましたよ(笑)。

ドイ:でも、この映画、すごいんですよ。めちゃめちゃ自然に猫が撮れているんです。上手い。自然で生き生きしている。あれは自分には無理ですね。すごく時間がかかっていると思うけれど、そこを見せていない点もすごいと思いました。

つるの:監督のこだわりもすごいと思いました。猫なんで言うことを聞かないわけですよ。その限られた素材の中で映画に使うわけですが、猫を知ってなければ残せないですからね。


──役柄については、どう理解しましたか?
 
つるの:監督に言われて原作を読まずに入ったんですが、さすがにまずいなと思って内緒で読んでみたら、僕が思っていたミツオの兄像と漫画との間にギャップがあって(笑)。でも、それはそれでいいかなとも思いました。この映画って僕が猫を連れてきて、話が始まるきっかけを作っているんですよね。僕がミツオに全部投げて、去っていくという。

ドイ:つるのさん、なんてことをするんだって思いながら観ていましたよ(笑)。ただ、兄としてに何か考えがあってやったことだとも思うので、そう考えると誰も悪い人がいない。すごくハッピーな映画だなって思いました。

つるの:結果はそうなんですけど、僕はそんなつもりないんですよね(笑)。上手い具合に転がってはいますけど。ただ、潜在意識の中で弟への想いがあって、という説明も成り立たないわけでない。つっけんどんだけど弟想いのキャラクターなので、嫌な人に観えないように努めてはいました。


──猫について、改めて知るきっかけになる映画だと思いました。仮にひとりで映画を観に行っても、心がほっこりしますよね!
 
ドイ:そうですね。猫好きじゃない人にこそ観てほしいですね。猫を飼いたいと思うはず。いろいろと考えさせられることが多いので、子どもにも観てほしいです。

つるの:猫は生活の中の一部という考えのドラマなので、生活感がすごくあります。別世界の話じゃないので、猫好きじゃなくても楽しめます。皆さんの心に入りやすいと思うので観てほしいですね。

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映画を観ると、猫という友だちが新しくできると思うんですよ。友だちがいない方でも猫の魅力はわかると思うので、初めて友だちができたっていう感覚を、猫を通じて感じていただければと思います。

(取材・文・写真/鴇田崇)


<STORY>

ボクシングに人生を捧げる三十路寸前の男ミツオ(風間俊介)のもとに、子猫の兄弟"チン"と"クロ"が現れた! 漫画家であるミツオの兄(つるの剛士)が拾ってきた2匹は、<超やんちゃ>で<超気まま>。用意したエサは気にいらないと完全ムシ、命より大事なボクシンググローブは、猫の必殺技"猫キック"の練習道具に使われたりと、猫嫌いのミツオは振り回されっぱなしだ。だが、アパートの大家さん(市川実和子)や猫好きの女性ウメさん(松岡茉優)の応援も受け、少しずつ距離を縮めながら彼らは極貧生活を支え合う運命共同体になっていく。1人の男と小さな2匹の、かけがえのない猫デイズが始まった!

映画『猫なんかよんでもこない。』は、大ヒット上映中!
配給・宣伝:東京テアトル
(c) 2015 杉作・実業之日本社/「猫なんかよんでもこない。」製作委員会

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鴇田崇(ときた・たかし)

1974年生。国内最大級のアクセスを誇る総合映画情報サイト「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在はフリー。年間延べ250人ほどの来日ゲスト、俳優、監督への取材を行い、雑談のような語り口で相手のホンネを引き出すスタイルは、一部の関係者に定評がある。史上もっともアガッたインタビューは、あのM・ナイト・シャマラン監督に「キミの体からは気が出ている!」とホメられたこと。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。

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