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杉山すぴ豊の、アメキャラ映画パラダイス

第67回 『アベンジャーズ/エンドゲーム』予告編解禁! 気になるのは"かかし"

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『アベンジャーズ/エンドゲーム』(『アベンジャーズ4』)の予告編が解禁になりました。
興味深いというか興奮しっぱなしのシーンが炸裂なのですが、個人的に興味深かったのは、予告編の1分2秒目あたりの"かかし"なんです。これは明らかにサノスの武具ですね。つまりサノスは武具を捨てた=戦わない(戦う必要はない)という意志表明をしているわけです。

一応解説すると、前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ではアベンジャーズらヒーローたちは魔人サノスに戦いを挑みます。サノスは宇宙の征服とかアベンジャーズ憎しで復讐するとか、そういうことが動機ではなく、この宇宙は資源にしろ、生命が住めるスペースにしろ限りがあるから、宇宙にあるすべての生命を半分にすれば(つまり半分、間引きすれば)均衡のとれた世界になると信じており、そのために一瞬にしてこの宇宙にいる者たちの半分を無作為に消滅できる"インフィニティ・ガントレット"を完成させその計画を実行にうつそうとします。アベンジャーズはなんとかこれを阻止しようとするのですが結局サノスはそれを実行し、全宇宙の生命の半分が消滅し、アベンジャーズらヒーローも半分消えてしまうのです。
映画としてはそこで終わるのです。

ヒーロー物は"ヒーローが勝つ"のがお約束なわけで、そういう意味で『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は異色作であり、今回の『アベンジャーズ/エンドゲーム』でヒーローたちが世界を元通りにする(であろう)と考えると『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は話が途中で終わっている、といえなくもない。
ただ、あの作品は主役がサノスであり、主人公が望みをかなえたところで終わる、と考えれば"中途半端なところで終わった"のではなく、1本の完成された作品と言えるでしょう。"だからもうサノスはヒーローたちともう戦う必要はないし、ヒーローたちも失った仲間をとりもどすことだから、ぶっちゃけサノス退治はどうでもいい。予告編でわざわざこの"かかし"をいれたのは"VSサノスの映画"という製作者たちからのメッセージともとれますね。

このサノスというキャラは、アベンジャーズ最凶にして最強のヴィランという触れ込みですが、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を見る限り、ちょっと"抜けたところ"がありますよね。これは『ザ・プレデター』の監督シェーン・ブラックがプレデターとサノスが戦ったらどっちが強いか?という質問に対し、"スパイダーマンの糸、顔にうけてウワーっとなったり本当にサノスって強いのかわからないよね"と言ってましたが(笑)、確かに冒頭のハルクとの戦いではとても強かったけれど、その後は武具をつけないでアベンジャーズと戦ったり、油断してソーのストームブレーカーであっさり攻撃されたり、また涙を見せたりします。

もちろん映画会社も、もとのコミックも違いますが、バットマン映画の傑作『ダークナイト』に登場したヒース・レジャー演じるジョーカーも最凶の敵というふれこみでした。あのジョーカーは、本当に隙がない完璧なヴィランでしたが、あのジョーカーに比べるとサノスは脇が甘いところがあります。しかし、こういうつっこみどころのあるところが、また"マーベルらしいヴィラン"ということかもしれません。

先月天に召されたスタン・リー氏が"この世に完璧な人間なんていないんだ。だから完璧なヒーロー
なんていうのもいない。同じように完璧なヴィランというのもいない。どこか弱さや欠点があり、ヒーローにもヴィランにも、読者と似ていると共感できる部分を作っておくんだ"と言っていました。

確かに僕らは、マーベルの魅力は"共感できる、悩みや葛藤をかかえたヒーロー"にあることはわかっていたつもりですが、これはヴィランに対してもあてはまるわけです。
改めてサノスが『アベンジャーズ/エンドゲーム』でどう描かれるのか、楽しみです。

(文/杉山すぴ豊)

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杉山すぴ豊

アメキャラ系ライターの肩書きで、アメコミ・ヒーロー映画やSF、モンスター映画についての伝道活動を、雑誌、TV、WEB等で展開。 映画「アメイジング・スパイダーマン」「アベンジャーズ」の劇場パンフレットにも寄稿しています。映画「サラリーマンNEO劇場版(笑)」にCMクリエーター役でなぜか出演。 AOL等でもコラム展開中。
また人気と評判の(笑)ブログはこちら http://supi.wablog.com/

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