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杉山すぴ豊の、アメキャラ映画パラダイス

第64回 あのプレデターがスクリーンに帰ってくる!『ザ・プレデター』

『ザ・プレデター』 9月14日(金)公開

いよいよ今月、あのプレデターがスクリーンに帰ってくる「ザ・プレデター」が公開されます。この作品(シリーズ)についてはファンが多く、様々な映画メディアで"プレデターとは?"的な記事がUPされています。

すごく大雑把にいうと、この宇宙にはとにかく強い生き物に戦いを挑むことに生きがいをかけている武闘派エイリアンの一族がいて、そいつらが時々地球に来て"狩り"をするわけです。"狩り"の対象は人間。でも人間なら手当たり次第に殺す、というわけではなく"銃を持って戦っている人間"を狙っていきます。

要は彼らにとって"銃を持って戦っている人間"は猛獣みたいなものなんですね。1作目ではシュワちゃん率いる特殊部隊をジャングルで狙い、2作目では大都会のジャングルでギャングや刑事たちと戦います。3作目にあたる「プレデターズ」では地球の犯罪者たちを拉致して、とある惑星に放ちそこで狩りをします。

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映画『ザ・プレデター』より

なおプレデターとは肉食獣という意味ですが、劇中このエイリアンをプレデターと呼ぶシーンはないし、また人間を食うわけではない。殺した後、その骨でトロフィーを作ったりしますが。
なお今回の『ザ・プレデター』では、初めてアメリカ政府が、このエイリアンのことを<プレデター>というコードネームで呼んでいた、という展開になるそうです。

さてこのプレデター・シリーズには、とても有名なセリフがあって"If it bleeds we can kill it"です。"奴が血を流すのなら、奴を殺すことができる"とシュワちゃんがいいます。
プレデターに襲われた部隊が銃をプレデターに向け乱射した際、プレデターも被弾し、緑色の蛍光の血がまわりの葉っぱとかに付着するのです。

考えてみれば悪霊とか悪魔とかオカルトな敵は物理的に倒すことはできません。でも相手も血を流す存在=生き物であるならば、殺すことは可能だ、と。
それを意識していたのかどうかはわかりませんが9月5日にいよいよブルーレイ/DVDがリリースされる『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』において、アイアンマンがサノスにパンチかなんかを見舞った際、サノスが出血します。
サノスは「ちょっと血が出たぐらいだ」と言いますが、このシーン、僕はすごく大事だと思っていて、つまり無敵に見えるサノスもアベンジャーズら地球のヒーローに倒せない敵ではない、ということをあのシーンで示唆していたのですね。

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映画『ザ・プレデター』より

さて「プレデター」は、この"If it bleeds we can kill it"のセリフが出たあたりからホラー映画というよりアク
ョン映画に変わっていくのです。「プレデター」は"アクション・スターがモンスターと戦う"という図式を確立させましたが、その流れは今年公開されたドウェイン・ジョンソンの『ランペイジ 巨獣大乱闘』そして『ザ・プレデター』と同じく今月公開される『MEG ザ・モンスター』(ジェイソン・ステイサムが超巨大古代サメと戦う)にひきつがれていきます。

アクション映画というのは基本的に"悪人を殺す映画"でもあるわけですが、やっぱりそこにカタルシスを求めすぎるのもちょっと後ろめたい。だから"モンスターと戦う"という道を見つけたのかもしれませんね。

(文/杉山すぴ豊)

***

『ザ・プレデター』
9月14日(金)公開

監督:シェーン・ブラック
出演:ボイド・ホルブルック、オリヴィア・マン、ジェイコブ・トレンブレイ
配給:20世紀フォックス映画

原題:The Predator
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/the-predator/
(c) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

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杉山すぴ豊

アメキャラ系ライターの肩書きで、アメコミ・ヒーロー映画やSF、モンスター映画についての伝道活動を、雑誌、TV、WEB等で展開。 映画「アメイジング・スパイダーマン」「アベンジャーズ」の劇場パンフレットにも寄稿しています。映画「サラリーマンNEO劇場版(笑)」にCMクリエーター役でなぜか出演。 AOL等でもコラム展開中。
また人気と評判の(笑)ブログはこちら http://supi.wablog.com/

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