第1回 サンディエゴ・コミコンで感じた、映画版「ジャスティス・リーグ」起動の予感
- 『マン オブ スティール』のプレゼンテーションから。監督のザック・スナイダー
今年の夏の洋画戦線は、いまだかつてないぐらいアメコミ・ヒーロー映画が熱いです。
先陣をきって封切られた、ドラマと3Dが素晴らしい『アメイジング・スパイダーマン』、そして堂々たるバットマン伝説完結篇『ダークナイト・ライジング』(バットマン)、来月には全世界で空前のブームと支持を集めた、スーパーヒーロー集合映画『アベンジャーズ』がいよいよ日本で封切られます。
2000年の『X-メン(1作目のみ、日本公開タイトルは"メン"とカタカナ表記)』の大成功から始まったアメコミ・ヒーロー映画ブームの、ある意味クライマックスが、この12年の夏だと思うのですが、このブームは、まだまだ続きそうです。
いま、アメコミ映画ブームを牽引しているのは、大雑把に言って08年の『アイアンマン』から12年の『アベンジャーズ』まで自社の抱えるヒーローたちを次々映画化ヒットさせているマーベルコミック&ディズニー映画連合 そしてスーパーマン、バットマンを世に送り出すDCコミック&ワーナー映画連合です。両陣営は、すでに13年以降の展開に目を向けています。
先日7月11日(水)から15日(日)に開催された、米サンディエゴ・コミコン(SDCC)に行ってきました。 "コミコン"とは、コミック・コンベンションの略で、もともとはアメコミのためのコンベンションだったのですが、そこから派生して、映画、ゲーム、TVドラマ、アニメ、TOY、『トワイライト』のようなアメリカ的なライトノベル等も巻き込んだ、オタク的なポップカルチャーの祭典になりました。
そして近年、ハリウッドが『アベンジャーズ』や『アメイジング・スパイダーマン』等のアメコミ原作の大作映画についての発表をここで行い、それをファンがSNSやWEB媒体を通じて情報拡散させる、というPR戦略が定着したため、SDCCは、ショウケース&メディアとしても注目されるようになったのです。
今回のSDCCでも、やはりマーベルとDC(ワーナー)の発表は大人気でした。マーベルはファンに対し『アイアンマン』から『アベンジャーズ』の成功への感謝を述べ、そしていよいよマーベルとしては次のステージに入ったと宣言!(この詳しい中身については次回ご報告いたします)
そしてDC(ワーナー)側は、次の週からいよいよ『ダークナイト・ライジング』が封切られるわけですから、当然バットマン押しで来ると思いきや、来年夏公開の新スーパーマン映画「マン オブ スティール」をフィーチャーしたプレゼンテーションでした。これは、バットマンをダークナイト(闇の騎士)と言うように、スーパーマンにはマン オブ スティール(鋼鉄の男)という"別称"があり、これをタイトルにもってくるあたり、バットマン=ダークナイトの成功手法で、スーパーマン映画のフランチャイズをリブート(再起動)させようという狙いを感じます。
そして僕が印象的だったのは、展示会場内のDCコミックのブースでは『ジャスティス・リーグ』がフィーチャーされていました。『ジャスティス・リーグ』はDC版『アベンジャーズ』とも言うべき作品で、スーパーマンやバットマン、グリーン・ランタン、ワンダーウーマンらがチームとなって、巨悪と戦うスーパーヒーロー集合ものです。
もともとDC側も、マーベルの『アベンジャーズ』のようにヒーロー映画を次々公開して『ジャスティス・リーグ』で共演させる、という構想もあったようなのですが、ダークナイト三部作を成功させたクリストファー・ノーラン監督が"自分の作るバットマンの世界観とは違う"との理由で実現は難しかったようです。しかし、今回の『ダークナイト・ライジング』で、一応ノーラン版バットマンの世界は終わったし、またライバルの『アベンジャーズ』があれほど成功しているので、DCとしても『ジャスティス・リーグ』の映画化に着手するタイミングに来たのではないかと思います。そう考えると、来年の『マン オブ スティール』が『ジャスティス・リーグ』につながる気もするのです。
一応『マン オブ スティール』のプロデューサーはクリストファー・ノーラン監督だし、この映画についても「自分がかかわるスーパーマン(=マン オブ スティール)は、"ジャスティス・リーグ"に向いていない」と言っているらしいのですが、今年のSDCCを見る限り、明らかにDC陣営は『ジャスティス・リーグ』に気合を入れているので、僕は、このプロジェクト動き出す、と思いました。
もしかすると、ノーランの後の新しいバットマンは、まず『ジャスティス・リーグ』でデビュー、、かもしれません。
※写真はすべて筆者(杉山すぴ豊)が、2012年のサンディエゴ・コミコン会場で撮影したもの。