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映画ジャーナリスト ニュー斉藤シネマ1,2

【映画を待つ間に読んだ、映画の本】第37回『僕たちの好きなバック・トゥ・ザ・フューチャー』〜熱狂的ファンたちによる、コストパフォーマンス抜群の、BTTFファンブック!

僕たちの好きなバック・トゥ・ザ・フューチャー 映画『バック・イン・タイム』DVD付き
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●BTTF3部作を嫌いな人なんて、いるのだろうか?

 第1作が公開されたのが1985年の12月のこと。年明けの1月から3月にかけて、僕はこの映画を映画館で見ている。それも3回。「こんなに面白い映画が、世の中にあったんだ!!」。

 それから31年経った今でも、その気持ちは変わらない。今でも大好きなのだ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。特に第1作は、初めて見たときの驚きと楽しさを未だ覚えている。この先脳梗塞にならなければ、この記憶を失うことはないだろう。

 ・・・とまあ、年甲斐もなく(すんません)はしゃいでしまったが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という映画には、そういう熱心なファンがたくさん存在する。これが第2作、第3作も含むトリロジーとなるや、そのファン人口も増殖。まさに「この3部作を嫌いな人って、この世にいるのだろうか?」とさえ言いたくなるほどだ。

 多くの人を熱狂させた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作。もちろん映画館で見た人だけではなく、ビデオやDVD、テレビ放映で見た人の中にもファンは少なくないだろう。ただこの3部作の場合、DVDやブルーレイといったパッケージ・メディアが何かにつけて登場する。レーザーディスク(!!)やDVDでトリロジー3作品がセットになり、映像特典も入ったBOXを購入したかと思ったら、まあ次から次へと出るわ出るわ。「25thアニバーサリーBlu-ray BOX」の次は「30thアニバーサリー・デラックス・エディション ブルーレイBOX」だと? さすがにこうなると、お腹いっぱい・・いや、食傷気味と言っても良い。新しく収録された映像特典は確かに楽しみだが、こうも小出しにされては、これからまだ40周年や50周年もあるのだから、いったいいつまで貢がないと行けないのか・・・。


●みんなでわいわいと、BTTF談義を楽しんでいる感じ。

 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』日本公開から約31年というハンパな年に刊行されたのが『僕たちの好きなバック・トゥ・ザ・フューチャー』だ。そのタイトルからして、人生を「バック・トゥ・ザ・フューチャー」3部作に捧げたような人たちが書いているかと思ったら、その通りだった。いいなあ、こういうのは。かしこまって読む本じゃなくて、まるでBTTF好きな友人同士が、あれやこれやとトリビアや知識自慢やファン談義をしている感じ。良い意味で同人誌っぽい。そこに場面写真や図表、取材記事や日本初公開のコミックまで載っているのだからBTTFファンにはたまらない一冊だ。


●『バック・イン・タイム』DVD付きで税抜き1800円!!

 さらにこの本には特典としてBTTFシリーズについてスタッフ、キャストがその舞台裏やエピソードを語る映画『バック・イン・タイム』のDVDが付録としてついている。つまり、本とDVDがセットで税抜き1800円!! こいつはお得だ。

 本をさっと一読し、『バック・イン・タイム』を再生してみると・・あらら。本に載っている出演者やスタッフのインタビューって、このDVDからとったんだなあ。日本の出版社が書籍のために、スビルバーグやゼメキスに直接インタビュー出来るわけないと思っていたが、こういう方法をとったのか。そのあたり、ちょっとガッカリしたものの、それでも各作品の解説や名台詞を散りばめた名・迷場面集、BTTF年表、小ネタ・トリビア、細かく出典元まで書かれているボツネタ、日本公開時の宣伝スタッフ(ドリーム・アーツの大森さん!)インタビューなど、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作が好きで好きでたまらない執筆陣の熱意のほとばしりは、充分に感じられる。間違いなく、これは快著である。

 それでも「なんだ。どこぞの女性誌と同じで、おまけのDVDがメインの本じゃないか」という輩には、こう言ってあげるのが良いだろう。
 「この際、固いこと言うな」。

(斉藤守彦)

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斉藤守彦(さいとう・もりひこ)

1961年静岡県浜松市出身。映画業界紙記者を経て、1996年からフリーの映画ジャーナリストに。以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「宇宙船」「INVITATION」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」等の雑誌・ウェブに寄稿。また「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」等の著書あり。最新作は「映画宣伝ミラクルワールド」(洋泉社)。好きな映画は、ヒッチコック監督作品(特に『レベッカ』『めまい』『裏窓』『サイコ』)、石原裕次郎主演作(『狂った果実』『紅の翼』)に『トランスフォーマー』シリーズ。

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