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プロレス×映画

WWEでは煽りネタの"お別れソング"が、泣けるシーンで使われてて面を食らった感動作『タイタンズを忘れない』

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 スポーツイベントなどで観衆が一丸となって応援歌を唄ったり、罵声を浴びせる行為である「チャント」。競技やチーム毎に違ったチャントがあり、ヒット曲の替え歌なども多く、当然ながら定番ソングが存在します。その中のひとつが「Na Na Hey Hey Kiss Him Goodbye」。

 1969年12月の米ビルボード週間チャートで1位を記録した、ポップバンド「Steam」による「ナナーナ、ナナーナ、ヘイヘェエーイ、グゥバァッーイ♫」という歌詞が耳に残るヒット曲。80年代に女性ポップユニット「バナナラマ」がカバーしたことでも知られます。

 もしかすると英語圏のスポーツ観戦時に耳にされたこともあるかもしれないこの曲、アメリカンプロレスのWWEでも"例の曲"としてお馴染みの曲でもあります。

 この曲が劇中で効果的に使われている映画作品が、デンゼル・ワシントン主演の『タイタンズを忘れない』(2000)。
 まだ人種差別問題が根強く残る70年代初頭、米国バージニア州の高校で結成された黒人と白人の混成アメフトチームの苦闘と栄光、人種間の融和を描いた実話ベースの感動作です。

 人種差別を無くす法施行の影響で、デンゼル兄貴演じる鬼コーチが主任コーチの座につき、それまでその席にいた白人コーチが助手に降格。その流れで選手同士も黒人と白人でいがみ合うも、合宿を経て次第にチームとして結束。
 ところが州大会を勝ち抜いても、他の生徒や保護者、地元住民たちの差別的な言動は変わらず、チームにも悪影響が!
 しかし、親友となった白人の主将と黒人のリーダー的選手が協力して盛り立てると、今度こそひとつとなって州大会優勝に向けて動き出す......

 "例の曲"は作中で奇跡の逆転勝ちを収める中盤ハイライトシーン、そして最後の感動シーンでキャストたちが唄う形で使われています。
 この使われ方は、特にWWEで"例の曲"を聞き慣れていると「え?そういう意味で使っちゃうの?」と面食らうハズ。

 そもそもの起源のひとつとされるのは、本作の舞台でもある高校アメフト界隈。遠征して来た他校チームがボロ負けした際、観衆が「ナナーナ♫」と合唱し、フィールドから追い出すムードを作ったことが発祥とされているそうな。
 他にも失格退場した選手に対して使われるなど、アイスホッケーを含めた球技全般の定番の"煽りソング(チャント)"なんですね。

 WWEでは、96年5月28日のスティーブ・オースチン vs. サビオ・ベガ戦において、オースチンが負ければテッド・デビアスが退団という条件で行われ、サビオ・ベガが勝利。退団となったデビアスに対して大合唱が起こったのが初「ナナーナ」だとか。
 以降、ヒール選手の退団事案に対して使われる煽りネタとしてWWEでもお馴染みとなったのです。

 そんなワケで、筆者はエンディング寸前の泣けるシーンでの"優しい"「ナナーナ」に不思議な気持ちに。

 作品的には、「この展開、どこかで聞いたような......主要人物が......あぁ!想像通りかよ!」的なド直球スポ根モノ。
 デンゼル兄貴の鬼コーチや各選手のキャラ(黒人と白人のデブがそれぞれムードメーカーなのが微笑ましい)や細かい台詞、70年代のヒット曲の数々などなど、実話系ながら、ベタの王道を迷いなく貫いたディズニー・スタジオ製作らしい、笑えて熱くなれる感動エンターテイメント作品としてオススメしたい一本です。

(文/シングウヤスアキ)

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シングウヤスアキ

会長本人が試合までしちゃうという、本気でバカをやるWWEに魅せられて早十数年。現在「J SPORTS WWE NAVI」ブログ記事を担当中。映画はB級が好物。心の名作はチャック・ノリスの『デルタ・フォース』!

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