プロレスラー出演映画シリーズ:船木誠勝、出演時間2分!『武装戦線 ~政府軍VS革命軍~』
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当コラムの「プロレスラー出演映画シリーズ」ですが、いよいよ自ら設けていた"主演級"クラスの縛りを外さなければならないのです。もう最悪アレです、エンドクレジットに(プロレスラーの)名前が載ってれば良いじゃないですか!と懇願したくなるほどの末期的ネタ切れ状況なんです。
ということで、早速ご紹介させて頂くのが『武装戦線 ~政府軍VS革命軍~』(2005)。
9.11以降、世界的に残酷なシーンを敢えて出さない戦争映画も跋扈している中、本作はいわゆるV(ビデオ)シネマということもあり、日本の特撮界でも知られた原口智生が特殊造型を担当した野心的なゴアシーン(頭ボーン、胴体ボローンといった感じの内蔵ベロンチョな表現)が特徴。
勿論、低予算な面を感じてしまう部分もありますが、製作サイドが創りたいものを創っているVシネマの強みが感じられる作品のひとつです。
ちょっとした功名心と旅行感覚でフィリピンを訪れた半人前のフリーライター・平川が、政府軍を襲撃する謎の傭兵リヴァイアサンの正体を追い求める中、紛争地域の現実を目の当たりにし、いっぱしの戦争記者になっていく内容。
カメレオン俳優・北村一輝の演技力によって、最初はチャラい感覚しか持ち合わせていなかった平川が戦争の不条理さと恐怖に打ちのめされる様は見事で、Vシネマ=ジャンル映画と侮って観た筆者を驚かせてくれました。
普通のアクション映画なら、後半に差し掛かればどんな一般人も平気で死体に触れたり、武器を取ったりするところですが、本作の平川は、リヴァイアサンの追跡に怯える中、消息不明になった前任者の遺体を見つけた時点でも恐怖に震え、自衛のためにためらいを覚えながらも銃を取るのです。
その平川に影響を与えるのが、本宮泰風演じる政府軍側の傭兵の隊長。この隊長さんが序盤の主役と言っても良い存在感で物語を牽引し、平川に戦争の現実を諭す重要な役割を担当しています。
主演で製作総指揮も務める小沢仁志アニキは開始48分頃にようやく顔出しするんですが、それ以降も基本的に『プレデター』を思わせるステルスハントで政府軍を着実に抹殺。全体的に硬派な戦争映画のテイストの中で、ファンタジーな存在として配置されており、故にちょっと笑ってしまう場面が無きにしもあらず。
何か忘れていますね、そうです、アレです。我らがプロレスラー、船木誠勝先生ですよね。前半、リヴァイアサンの情報を持つ傭兵マカベ役として登場。「やめとけっ」としんみり顔で忠告する超重要な役回りですよ。出演時間は約2分でございます。アクションシーンはゼロッ!
......これでプロレスラー出演映画として紹介して良いのかと心の中で葛藤しましたけどね、ここまで書いたんだから良いじゃないですか!
と開き直ったところで、まとめましょう。
普段、ポンコツ洋画を中心に観ている筆者としては、久しぶりにこの手のジャンルを中心に活躍している日本人俳優の男臭にキュンと来ちゃったことを申し上げたい所存。特に本宮泰風アニキにはもうズキュンとさせられることでしょう!
(文/シングウヤスアキ)