謎すぎて「WWFのレポマン」に引用すらされなかった? カルトドタバタSF『レポマン』
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珍作・カルト好きを自称し、それなりに観たつもりでも、まだ観ぬカルト作がわんさかあるものです。人生、日々勉強ですね。てなことで、そんな中の一つがカルト界でもパンクな作風で有名なアレックス・コックス監督の『レポマン』(1984)。
WWF(現WWE)関連は他よりプロレス界全体でのワーストギミックの企画があると、ほぼ毎回、確実に上位に君臨するクソギミック『レポマン(リーポマン)』と同じ名称、そして同じ題材の作品......
そんなワケもあり、いつかネタにするつもりではあった本作。オフビートドタバタSF、という大雑把な情報だけ把握していたのですが、なるほど、これはヤバイ作品でした。
レポマンとは「Repossession Man」の略で、ローン代金未払い者から該当の車を没収する回収人のこと。後年、車ではなく臓器回収屋の作品が複数作られていますが、本作とは一切関係ありません。
主演は、本作出演後に80年代の若手アイドル俳優集団「ブラット・パック」(今の日本でいう○○会やらの仲良しグループ)の中心人物として知られるようになるエミリオ・エステベス。
日がな時間を潰すだけで自宅に帰っても居場所のなかった青年オットーは、ひょんなことから「レポマン」という闇仕事に手を染めるも、何故か宇宙人騒動に首を突っ込むハメに。要は巻き込まれ系ですね。
オットーは、変人揃いの先輩レポマンたちに教えを受けながらレポマンとして成長。ところが、宇宙人を追っているという女性レイラと恋仲になったことで、鉄の左手を持つ謎の政府関係者からの尋問を受けたり、さらには宇宙人らしき人物とも接触してしまう。
レポマン界隈で話題になっている、報奨金2万ドルが掛かった絡む車「シェヴィー・マリブ」こそが宇宙人騒動の発端なんですが、物語後半はこの車の争奪戦に。敵だった連中が味方になったり、政府関係者との追走劇になったりと、状況は目まぐるしく二転三転します。
ちなみにWWFのレポマンは、バリー・ダーソウが「デモリッションズ(タッグ・チーム)」解散後に使ったギミック。本作のキャラクタ陣からのパクリ......もとい引用はなく、外見に関しては、往年のドラマ「怪鳥人間バットマン」に登場する悪役「リドラー」のハチマキ型マスクと、牽引用ロープがトレードマークでした。
色々と評判の悪いギミックですが、車(時には子供のチャリ)を回収するギャグプロモが作られたり、ダーソウの喋りの巧さもあって、個人的にはそう悪いギミックではない気がするんです。まあ、全体的にショボいのは否定出来ませんけども。
本作に話を戻せば、中盤から加速度的にとっ散らかり始め、特に最終盤の茶番めいた映像は「ん?全日本仮装大賞かな?」とツッコミそうになる、これぞカルトな珍妙振り。
正直言って視聴難度は高めですが、癖になるパンクとラテン系のサントラや、荒々しいながらもテンポの良い編集は心地よく、どうしてだか分からないけど、爽やかで晴れやかな気持ちになる謎エンディングは必見でございます!
(文/シングウヤスアキ)