第11回 『ブラッド・ビーチ 謎の巨大生物! ギャルまるかじり』
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- 『ブラッド・ビーチ 謎の巨大生物! ギャルまるかじり』
原題『BLOOD BEACH』
1981年・アメリカ・91分
監督:ジェフリー・ブルーム
脚本:ジェフリー・ブルーム
出演:デヴィッド・ハフマン、マリアンナ・ヒル、ジョン・サクソン、バート・ヤングほか
※VHS廃盤
この夏、ついに公開される『パシフィック・リム』。太平洋上に出現した巨大生物に、人間が搭乗する巨大ロボットが立ち向かう! ロボットに搭乗するのが菊地凛子(日本語吹き替え・林原めぐみ)で、その幼少期が芦田愛菜。ロボットアニメオタor怪獣オタ騒然! でも、どうせならパイロットは『あまちゃん』の2人とか、川口春奈とか、AKB48の入山杏奈とか美少女の方がいいな(担当「菊地さんに失礼ですよ」)。
まあ相変わらずCGI怪獣には「怪獣萌え」を感じず、このコラムでアナログ特撮を語って自慰させてもらっている私にとっては、同じ太平洋でもロスのビーチを舞台にしたこの「ギャルまるかじり」の方が断然萌えるのだ。テレビでは『血に飢えた白い砂浜』という放映題で何度か放映され、コアな怪獣マニアの間で語り継がれている作品だ。
10月のロサンゼルス。早朝のビーチで愛犬と散歩するオバサンが、突然砂浜に「ズボッ!」と沈む。開始早々ギャルではない壮年女性がやられ、いきなり不安になるのだが、先はまだ長い。オバサンは、主人公の沿岸警備隊員ハリーの元カノ・キャサリンの母親。その夜、ワンコは飼い主が埋まった場所で健気に伏せをして待つ(涙)。やがて、ワンコを捜しにきたキャサリンが近づいてみると......首がない!
翌日、若者で賑わうビーチでは、砂に埋められた女子高生が地中で何者かに襲われ、一生杖が離せないほどの重傷を負う。ようやくかじられるギャル。だがまだ「まるかじり」ではない。ここで方々から「警察は何しとる」とロス市警にクレームが殺到する。苛立つ強面の警部を演じているのは『燃えよドラゴン』でブルース・リーと共闘したローバー、または『エルム街の悪夢』でナンシーの言うことを信じない父親を演じたジョン・サクソン。その部下には『ロッキー』でエイドリアンの冴えない兄ポーリーを演じたバート・ヤング。劇場未公開作品にしては、何気に大物2名が脇を固める。
犠牲者は増える一方だ。女性を襲撃中の痴漢が、ペニスだけかじり取られる(同情の余地なし)。「豆を食べて屁をしよう」と書かれたTシャツを着たオヤジ、ハリーの同僚も「ズボッ!」。ちなみにこの「ズボッ!」だが、『帰ってきたウルトラマン』第51話「地獄からの誘い」で、地底人キングボックルの攻撃シーンを連想したのは私だけだろうか。
それはさておき、哀れハリーの現恋人まで「ズボッ!」。やっと実現するギャルまるかじり。その頃、楽しげに久しぶりの食事を楽しむハリーと元カノ・キャサリン(人妻)。「旦那と別居してる。まもなく離婚するの」と聞き、心が揺らぐハリー。翌朝、恋人が襲われたことを知りショックを隠せないハリーだが、その翌日にキャサリンとセックス(コラ~)。
やがてホテルの廃屋から体の各部位が欠損した死体、首、手足の山が発見される。怪物の食糧保管庫か? 警部は、巣と思しき屋内に監視カメラ設置し、怪物が狩りから戻ったところをダイナマイトでドン! という作戦を採る。特設モニター室では博士が、怪物の正体が棘皮(きょくひ)動物(ヒトデ、ナマコ、ウニ、ウミユリ)か環虫(ヒル、ミミズ、ゴカイ)の突然変異が地中に適応したのではないかと推論する。
そして、ついに怪物は現れた。博士「見ろ!」。バート・ヤング「ジーザス・クライスト(邦訳「たまげたぜ」)」。モニターには、トゲがたくさん付いたパラボラのような円形の頭部、その付け根には勃起した陰茎のような胴体が付いているイソギンチャクみたいな怪物が映し出される。頭部の直径は2~3メートルほどか(地中の見えない部分は不明)。そこでバート・ヤングは起爆スイッチをオン。数ヶ所に仕込まれた爆弾で怪物は木っ端微塵に! 開始82分にして初めて姿を見せた怪物は、登場後、数分で死ぬ。夜空にサーチライトを受けてキラキラと舞う怪物の破片......。
翌朝、結局キャサリンは旦那の元へと戻っていった。元カレとしっかりセックスするだけして。そして賑わいが戻ったビーチだが、砂遊びをしていた幼児が忽然と消え、ビーチの至る所でアリジゴクのような穴がサラサラ......。怪物の大量発生を予見したエンディングだ。劇中、6人と1匹の犠牲者を出したこの作品、結局「まるかじりされたギャル」は1人だけだったが、1人でもタイトルはウソを言っていない。めでたし!