飛車の引き場所

中飛車はプロの公式戦でもよく指されますが、特にアマチュアの皆さんは好んで指されるのではないでしょうか。『NHK 将棋講座』2017年11月号ではその中飛車をテーマにしていますので、ぜひ楽しみにしていてください。
今、中飛車から5筋の歩を交換し、居飛車側に△5四歩と打たれた局面です。ここで飛車の逃げ方が問題になります。さて、どこに逃げるのがベストでしょうか。佐藤和俊六段が解説します。


■振り飛車の好形のひとつ 受けにも強い下段飛車

これは飛車の引き場所が問題です。正解は▲5九飛(正解図)です。将来、▲5八金左〜▲4七金などの活用もしやすくなります。その点において、▲5八飛(次善図) は少し不満です。▲5九金左〜▲4八金左〜▲4七金とすれば同じ形ですが、1手損になります。


また▲5八飛は▲7八金とバランスをとったとき、△6九銀や△6九角のスキが生じてしまいます。この割り打ちは中飛車にとって警戒すべき筋です。▲5九飛の下段飛車は、中飛車の基本なので形で覚えておきましょう。ちなみに問題図で▲6五飛(失敗1図)と寄るとどうでしょう。▲6三飛成を狙っていますが、いかにも短兵急で△5二金右と受けられて効果なし。残るのは飛車の不安定さだけです。このように不用意に大駒が相手の小駒に近づくことは避けたほうが賢明でしょう。

同じ理由で▲5六飛も少し不安定さが残ります。▲5七飛は明らかに悪手で、△6五桂の両取りのキズが残ります。
■『NHK将棋講座』2017年10月号より

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