新婚の村川大介八段、「妻は初段くらい打ちます(笑)」
- 撮影:小松士郎
関西棋院所属のトップ棋士、村川大介(むらかわ・だいすけ)八段。2014年には王座を獲得し、現在も棋聖戦Sリーグや名人戦リーグに在籍するなど、最前線で活躍中だ。最近、囲碁への取り組みだけでなく私生活でも大きな変化があったという村川八段に、話をうかがった。
* * *
子どものころから井山裕太棋聖の背中を追い続けてきた村川大介八段。2014年、その井山棋聖を破り、初の七大タイトルとなる王座を獲得するが翌年奪回され、結果的には昨年、井山棋聖の七冠達成を許すこととなった。
昨年夏には碁聖に挑戦し、現在も棋聖戦Sリーグ、名人戦リーグに入るなどトップで活躍中ながら、「碁聖戦のあとは、大事な碁にことごとく負けてしまって…」と、最近の成績にはあまり納得できていないという村川八段だが、最近、公私ともに大きな変化が生じたという。
■東京暮らし
——関西棋院に所属する村川大介八段ですが、現在は東京にお住まいとうかがいました。
「実は最近、結婚しまして…。妻が東京で仕事をしていることもあり、現在はこちらで暮らしています」
—— それは、おめでとうございます。お相手は、一般の方ですか?
「はい。囲碁関係者によるフットサルの交流戦があり、そこで知り合いました。囲碁は初段くらい打ちます(笑)」
—— なるほど。となると、手合や勉強は大阪に戻って、ですか?
「手合はそうですね。勉強は、基本的に平日は東京の自宅に引きこもって、一人でやっています(笑)」
■自宅にこもって勉強
—— 一人で、ですか。どのような勉強をされているのですか?
「自分の棋譜や海外の碁を調べたり…。あと、関西の詰碁研究会にも参加しており、毎月48問解かなければいけないので、詰碁もやっていますね」
—— 詰碁研究会は、何人くらいの方が参加されているのですか?
「30人くらい参加しています。棋士だけでなく、院生でも、誰でも参加できます。成績がいいのは、伊田篤史八段や余正麒七段ですね」
—— トップ棋士も参加されているのですね。アマチュアにとっても、詰碁は大事ですか?
「アマチュアの方にも、詰碁の勉強がお勧めです。詰碁が苦手という方が多いので、逆に詰碁をやれば、差がつきやすいと思いますよ」
—— 研究会には参加されていないのですか?
「大阪に関西研究室というものがあり、若手でお金を出し合いマンションの一室を借りています。そこには気が向いたときに通っています」
■今研究会
—— 東京では?
「これまでは一人で勉強していたので、研究会にはそれほど顔を出していませんでした。ただ最近はあまり納得のいく成績を残せていないので、気分を変えてちょうど今日(取材当日)から今研究会に通うことにしていました(笑)」
—— 今研究会とは?
「張 豊猷八段が『今』を大事にしようと8年ほど前にスタートした研究会で、毎週開催されています。若手を中心に、かなりの数の棋士や院生が参加しています」
—— 研究会の効果が楽しみですね。今後の目標をお聞かせください。
「タイトル戦に出ることですね。二日制の碁を打ってみたいです。あと、世界戦のベスト8以上に進みたいです」
■キーワードの意味を知ろう!
7月に発売された『初段突破 強くなる24のキーワード』には、著者である村川八段の強い思いが詰まっているという。「ふだん何気なく『アタリ』や『ノゾキ』などといったキーワードが使われていますが、本当の意味を理解されている方は少ないのでは?」と感じたことが、本書を著すきっかけとなったそうだ。
本書では、「一間トビ」といった実戦頻出のものから「ハザマ」など有段者向けのものまで、性質を正しく理解すれば大きな効果が表れる厳選24のキーワードが解説されている。
「例えばおなじみの『アタリ』も、打っていいときの条件があるのです。それが下の表の5つです」と村川八段。どれも当てはまらないときは、アタリは打たないほうがいい場合が多いことを、皆さんご存じだったろうか?
「アマチュアの方になるほど!と思っていただけるような、自分にしか作れない内容になったかなと思っています」とのことなので、ぜひご一読を!
文:丹野憲一
■『NHK囲碁講座』2017年8月号より
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子どものころから井山裕太棋聖の背中を追い続けてきた村川大介八段。2014年、その井山棋聖を破り、初の七大タイトルとなる王座を獲得するが翌年奪回され、結果的には昨年、井山棋聖の七冠達成を許すこととなった。
昨年夏には碁聖に挑戦し、現在も棋聖戦Sリーグ、名人戦リーグに入るなどトップで活躍中ながら、「碁聖戦のあとは、大事な碁にことごとく負けてしまって…」と、最近の成績にはあまり納得できていないという村川八段だが、最近、公私ともに大きな変化が生じたという。
■東京暮らし
——関西棋院に所属する村川大介八段ですが、現在は東京にお住まいとうかがいました。
「実は最近、結婚しまして…。妻が東京で仕事をしていることもあり、現在はこちらで暮らしています」
—— それは、おめでとうございます。お相手は、一般の方ですか?
「はい。囲碁関係者によるフットサルの交流戦があり、そこで知り合いました。囲碁は初段くらい打ちます(笑)」
—— なるほど。となると、手合や勉強は大阪に戻って、ですか?
「手合はそうですね。勉強は、基本的に平日は東京の自宅に引きこもって、一人でやっています(笑)」
■自宅にこもって勉強
—— 一人で、ですか。どのような勉強をされているのですか?
「自分の棋譜や海外の碁を調べたり…。あと、関西の詰碁研究会にも参加しており、毎月48問解かなければいけないので、詰碁もやっていますね」
—— 詰碁研究会は、何人くらいの方が参加されているのですか?
「30人くらい参加しています。棋士だけでなく、院生でも、誰でも参加できます。成績がいいのは、伊田篤史八段や余正麒七段ですね」
—— トップ棋士も参加されているのですね。アマチュアにとっても、詰碁は大事ですか?
「アマチュアの方にも、詰碁の勉強がお勧めです。詰碁が苦手という方が多いので、逆に詰碁をやれば、差がつきやすいと思いますよ」
—— 研究会には参加されていないのですか?
「大阪に関西研究室というものがあり、若手でお金を出し合いマンションの一室を借りています。そこには気が向いたときに通っています」
■今研究会
—— 東京では?
「これまでは一人で勉強していたので、研究会にはそれほど顔を出していませんでした。ただ最近はあまり納得のいく成績を残せていないので、気分を変えてちょうど今日(取材当日)から今研究会に通うことにしていました(笑)」
—— 今研究会とは?
「張 豊猷八段が『今』を大事にしようと8年ほど前にスタートした研究会で、毎週開催されています。若手を中心に、かなりの数の棋士や院生が参加しています」
—— 研究会の効果が楽しみですね。今後の目標をお聞かせください。
「タイトル戦に出ることですね。二日制の碁を打ってみたいです。あと、世界戦のベスト8以上に進みたいです」
■キーワードの意味を知ろう!
7月に発売された『初段突破 強くなる24のキーワード』には、著者である村川八段の強い思いが詰まっているという。「ふだん何気なく『アタリ』や『ノゾキ』などといったキーワードが使われていますが、本当の意味を理解されている方は少ないのでは?」と感じたことが、本書を著すきっかけとなったそうだ。
本書では、「一間トビ」といった実戦頻出のものから「ハザマ」など有段者向けのものまで、性質を正しく理解すれば大きな効果が表れる厳選24のキーワードが解説されている。
「例えばおなじみの『アタリ』も、打っていいときの条件があるのです。それが下の表の5つです」と村川八段。どれも当てはまらないときは、アタリは打たないほうがいい場合が多いことを、皆さんご存じだったろうか?
アタリを打つときのポイント
1 相手の石を取れるとき
2 自分の形を整えるとき
3 相手の石を強くしてもいいとき
4 相手の石を分断して戦うとき
5 あとからではツナいでもらえないとき
「アマチュアの方になるほど!と思っていただけるような、自分にしか作れない内容になったかなと思っています」とのことなので、ぜひご一読を!
文:丹野憲一
■『NHK囲碁講座』2017年8月号より
- 『初段突破 強くなる24のキーワード (NHK囲碁シリーズ)』
- 村川 大介
- NHK出版
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