花を愛でる茶会 廻り花とは

撮影:竹前 朗
日本人は昔から四季折々の自然を楽しんできました。茶の湯の世界においても花は季節を感じさせるものであり、亭主は時季にふさわしい花を選び、客をもてなします。
利休七則に「花は野にあるように」とあるとおり、茶花は華美にならず、あまり手を加えず、自然のままの姿を大切にします。また、花は客が目にしたときに最も美しい状態であるように入れることが大切です。
秋は可憐(かれん)な撫子(なでしこ)、たおやかに揺れる芒(すすき)や葛(くず)をはじめ、花の種類も多くなります。主客ともに花を入れる廻り花や花寄せで花を愛でる茶会を楽しみましょう。

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■廻り花

廻り花は七事式のひとつです。江戸時代に考案された七事式は、遊びの要素を取り入れながら茶の技を磨くために行われるものです。
無学和尚による廻り花の偈頌(げじゅ)には
色即是空 凝思量即背
とあります。万物は本来は無であり、花を美しく見せようとするとかえって真実から逸(そ)れてしまい、品のないものになってしまう、というような意味です。亭主と客は交互に花を入れて楽しむとともに、無心に花を入れる修練をするのです。
廻り花では花台に用意された数々の花のなかから主にする花、そえになる花を二〜三種選んで入れます。与えられた花材から花入に合う花を素早く選ぶこと、前の人が入れた花と自分の花が重複しないことを心がけます。
花入は竹の二重切(にじゅうぎり)か三重切(さんじゅうぎり)を用いますが、これはほかの人が入れた花を抜くので少しでも長く楽しもうという心です。三重切は廻り花のために使う花入です。なお、廻り花ではお茶を点てて飲むことはしません。
※テキストでは、廻り花の作法を写真入りで詳しく解説しています。
■『NHK趣味どきっ! 茶の湯 武者小路千家 残暑から初秋を楽しむ茶会』より

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