日本の変化と共に変わっていった駅弁文化

いかのうまみと甘辛い味つけがマッチした北海道名物として人気のいか飯も、家で簡単につくれます(料理:渡辺あきこさん)。つくり方はテキストをご覧ください。撮影:豊田朋子
電車を使った旅行の楽しみのひとつ、駅弁。全国各地で駅弁が販売されて駅弁ファンも登場し、今や立派な“文化”に。駅弁に詳しい沼本忠次さんに話を聞きました。

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駅弁の食文化の継承を担っている組織で事務局長を務めているのが、沼本忠次さんです。駅弁は、どのように始まったのでしょう。
「駅弁の始まりは、明治期に長距離の鉄道が敷かれ、車内での旅客サービスの必要性が生じたことだと言われています。正式な文献などは見つかっていないものの、1877年に神戸駅と大阪駅で販売されていたようです。その後、1906年に全国16の鉄道会社は統合し、国有鉄道化されます。実は、長距離の鉄道は兵隊を運ぶための大事な交通手段でもありました。当時の駅弁は兵隊が食べる“軍弁”だった側面があります」
このころの弁当店は、元は街道で「旅籠(はたご)」をしていた人たちでした。駅の開設にあたり、国から弁当製造の命令書(名称は許可証)が出されたのです。現代では想像しにくい状況です。
戦時中は一般の人々の移動が活発ではありませんでしたが、戦後の高度成長期へ向かう1960年、「もはや戦後ではない」といわれ旅行ブームになり、駅弁が復活します。駅弁といえば幕の内弁当ばかりだったのが、同時期にシュウマイの弁当や釜飯などが誕生するのです。
1970年、「大阪万博」が開催され、人々の行き来が盛んになります。このころには、駅弁の企業が430軒もありました。
「なぜかというと、当時はまだ夜行列車だったからです。現代のようにコンビニエンスストアもなく、駅で食べ物といえば立ち食いそばしかないような時代ですよ。弁当売りの売り方も、今とは違って歩合制だから、みんな必死でした。良い声を出すために飯台にあめをしのばせているという人もいたほどでした」
現在、駅弁の企業数は約100軒に減少。ただしその約7割が、100年以上続いている企業だそうです。伝統を重んじる業界ではありますが、企業どうしのつながりがあって親しくしているところも多く、若い後継者が互いに見習いに行く習慣があるといいます。
「駅弁は、『のもの(旬のもの。その土地のもの)』を生かしています。例えば、会議の席で弁当が出されたときにはだまって食べることが多いと思うのですが、ここに駅弁が出された場合は、食材や味つけの話などで会話が生まれやすいんです。その土地ならではの味が詰まった駅弁を、楽しんでいただきたいです」
■『NHK趣味どきっ!明日使える!お弁当大百科』より

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