ランを育てるときは必ず最初に原産地を調べよう

シンビジウムと東洋ランの交配によって生まれた「和蘭」。その名のとおり、和の雰囲気もあわせもっている。撮影:伊藤善規
多くの園芸ファンの心をとらえて離さない植物、ラン。その魅力はどこにあるのでしょう。幼いころから海外のラン図鑑を絵本代わりにめくっていたというランの研究家、富山昌克(とみやま・まさかつ)さんがズバリ、お答えします。

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■環境に適応しようと魅惑的な姿に

地球上のさまざまな環境に自生するランの数はおよそ2万種ともいわれます。可憐な小輪花にゴージャスな大輪花、謎めいた妖艶さを漂わせる花から、マニアをうならせる珍奇なものまで、ランの最大の特徴はその多様性。それは、寒暖の差の大きい標高の高い土地や、湿度も温度も高い熱帯の低地など、あらゆる環境にたくましく適応して分布を広げてきた結果なのです。
したがって、ランを育てるときは、最初に必ず原産地を調べましょう。どんな環境に適応しているかがわかれば、栽培管理のヒントになるからです。

■最大のカギは「明るさ」。入ってくる光で置き場が決まる

植物であるランにとって重要なのは、「温度」と「光」そして「水分」。なかでも家庭で栽培するうえで最も重要なカギとなるのは「光」です。
例えば夏の昼間、戸外の明るさは晴天時で10万ルクスといわれますが、軒下やベランダなどの半日陰では5万ルクス、室内の窓辺ではその10分の1の5000ルクス程度です。人の目には明るく感じられるダイニングでも、100分の1の500ルクス程度しかありません。こうした光で生きていけるランの種類は限られています。
逆にいえば、その光の強さで生きていけるランであれば、家の中に取り込んで一緒に暮らすことができるのです。
■『NHK趣味の園芸』2017年2月号より

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