冬の芳香を楽しむ ロウバイ

基本種のロウバイ(蠟梅)は、外側に先がとがった薄黄色の花弁、内側に紫褐色の花弁が重なる。花の時期は1〜2月。撮影:丸山 滋
真冬に芳しい香りを放つ花を咲かせるロウバイ。薄黄色をしたウメのような花は半透明で、まるでロウ細工のよう。そんなロウバイのプロフィールを東京農業大学グリーンアカデミーの大出英子(おおいで・えいこ)さんに教えてもらいました。

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■冬枯れの庭でふくいくたる香りを放つ

緑少なく寒さ厳しい季節に甘い花の香りを感じたら、そこに小さな半透明のロウ細工のようなロウバイの花が咲いていた…。皆さんにはそんな経験はないでしょうか。
冬の開花期以外はあまり注目されない花木ですが、緑も花も少ない季節、特に新春を迎えたころに可憐な香りのよい花を咲かせるため、庭木としてだけでなく生け花や茶花に用いたり、盆栽や鉢植えにしたりするほか、寺社や庭園などにもよく植えられています。

■中国原産で17世紀初めに日本に渡来

ロウバイ(Chimonanthus praecox)は、中国原産のロウバイ科の落葉低木で、樹高2〜4mになります。17世紀初めに、中国から朝鮮半島経由で、日本に渡来したといわれています。

■英語名はウィンタースイート

ロウバイの名は、漢名の「蠟梅」からきており、そのほかにも、臘月(陰暦12月の異称)にウメに似た香りの花をつけるからとも、花が蜜ロウを連想させるからともいわれています。
学名の属名キモナンツス(Chimonanthus)は、「cheimon(冬)」と「anthos(花)」を意味するギリシャ語に由来し、種小名のプラエコクス(praecox)は、「早咲きの」を意味しています。英語名は「ウィンタースイート(winter sweet)」で、冬の厳寒期に、ほかの花に先駆けいち早く香りのよい花を咲かせるロウバイの特徴をよく表しています。
■『NHK趣味の園芸』2017年1月号より

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