目指せ井山棋聖! ハイレベルな戦いにプロも驚いた少年少女囲碁大会

撮影・小松士郎
8月2日、3日の2日間にわたり、第37回文部科学大臣杯 少年少女囲碁大会 全国大会が行われた。都道府県大会を勝ち抜いてきた小学生101名、中学生101名による、頂点を目指したハイレベルな戦いの結果は…。

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■目指せ井山棋聖!

井山裕太棋聖、山下敬吾九段など、日本を代表する棋士たちの飛躍のきっかけとなってきた「少年少女囲碁大会」。今年の新人王戦の決勝を戦った谷口徹二段は9年前、大西竜平二段は5年前、いずれも小学生の部で優勝している。
テレビ解説を務めた一力遼七段も11年前、小学校2年のときに宮城県代表で一度だけ出場したが、初日の予選リーグで敗退したというほど、勝つのが難しい大会でもある。
去年のこの大会で活躍し、優勝候補と目された選手たちが都道府県大会で敗退していることからも分かるように、レベルはますます高くなっているようだ。

■秒読みとの戦い

2日目の決勝トーナメントは、時間との戦いでもある。30分の持ち時間を使い切ると一手10秒の秒読みに入るが、選手たちは何とかよい手をひねり出そうと必死に考え込み、秒に追われることになる。10秒碁には皆慣れている様子だが、さすがに焦りが出るのか、ミスで勝負を落とした碁も多く見られた。
小学生の部で決勝に進んだのは、板橋区立板橋第一小学校6年の徐文燕さんと、荒川区立第二瑞光小学校6年の三浦太郎君。金艶四段のお嬢さんである徐さんは、「ここまできたからには優勝したいです」と意気込みを語った。対する三浦君は「決勝までこられずに涙をのんだ子たちの分まで頑張ります」と述べ、会場を沸かせた。

■悪手が見当たらない

決勝戦は、お互いの棋風どおり地を争う展開に。80数手まで「悪手が見当たりません」と一力七段が驚くほど、ハイレベルな戦いになった。しかし中盤に入り二人とも10秒の秒読みに入ると、さすがに疑問手が現れ始める。二転三転した難戦は、最終盤に徐さんにミスが出て、三浦君に軍配が上がった。
中学生の部は、京都府立洛北高等学校附属中学校2年の森田拳君と東京代表・貞静学園中学校1年の王欣鴻君との対決となった。森田君は小学4年のときから毎年代表として出場、今年は団体戦にも主将として出場し、優勝している。一方の王君も小学5年のときに準優勝、そして昨年は3位と、優勝候補の一人だ。

■来年の大会が楽しみ

決勝戦は早い段階で王君が優位に立ち、「勝ち負けにこだわらず、伸び伸び打ちたい」と言っていたとおりの感性の一手を放ち、一力七段を驚かせる。しかし中盤に入ると、形勢をかなり悲観していた森田君の粘り強い打ちぶりに、楽観した王君にミスが出て逆転。そして10秒の秒読みに入り、闇試合になりかけたが、最後は森田君が手厚く打ち進めて逃げ切った。
来年は、優勝した森田君は3年生、準優勝の王君は2年生になり、小学生の部で優勝、準優勝の三浦君、徐さんは中学1年生だ。四人の間でどのような戦いが繰り広げられるのか、それとも新たなつわものが割って入るのか、今から来年の中学生の部が楽しみだ。
そして優勝、準優勝の二人が抜けた小学生の部では、誰もが予想もしないようなスターが現れるかもしれない。
それは、あなたかも?
■『NHK囲碁講座』2016年11月号より

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