室田伊緒女流二段、憧れの清水市代女流六段を語る

『NHK将棋講座』の人気連載「あなたの知っている/知らない○○」。2016年4月号には清水市代(しみず・いちよ)女流六段が連載初の女性棋士として登場しています。次号、バトンを渡される室田伊緒(むろた・いお)女流二段に、憧れの女流棋士であるという清水女流六段について話を聞きました。

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アマチュアのころから「憧れの女流棋士は誰ですか」と聞かれるたびに清水さんの名前をあげていました。清水さんの著書を読んでからファンだったんです。初めてお会いしたのがデビュー直後で、私のようなよく分からない新人に気さくに話しかけてくださってとてもうれしかったです。
最近だと、女子オープンの里見さんとの対局で見せた強気の攻めが印象に残っています。3図は飛車取りに金を打ったところですが、△9九角成▲7六金△2四香▲6五金△同歩▲4六桂△2五香と、飛車取りも銀取りも放置して踏み込みました。最後もすべて読み切っていて、ぴったり詰ませたのもさすが清水さんだなと思って見ていました。

女流棋士の先輩としては、対局姿の美しさに憧れます。凛(りん)とした対局姿で、これだけ強いのに、しゃべったらかわいい。こんな言い方をすると失礼かもしれませんが、かわいらしい。「こういう女性になりたい」と思うような女性です。
NHK杯戦の司会は明るくて、まさしく「朝の顔」ですよね。でも初め、清水さんが司会をされると聞いたときは意外でした。ストイックに将棋に取り組まれているイメージがありましたし。だから、女流棋士会の会長に就任したのにもびっくりしました。私もいま棋士会副会長という立場で、対局前日と当日は将棋に集中するようにしていますけど、結果が残せていません。清水さんは会長になられてからも勝率が高く、なおさら憧れる思いが強くなりましたね。
私が初めてタイトル戦で記録係を務めたとき(第21期倉敷藤花戦、里見香奈倉敷藤花―甲斐智美女流王位)、立会人が清水さんでした。午前中、対局室で「ブーン」と音がするので見上げると、大きな虫がいたんです。
私は「来ないで〜」と思いながら虫の動きを見ていたのですが、対局者は全く気にしていなくて、動じないんですよ。「これがトップの姿なんだな」と感心していました。でもやっぱり虫はイヤなので、清水さんが対局室にいらしたときに「大きな虫がいます」とメモに書いて渡しました。清水さんから担当の方に伝えてくださってすぐに駆除していただき、本当に助かりました
■『NHK将棋講座』2016年4月号より

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