これまでの経験生かした将棋を──今泉健司新四段への期待

瀬川晶司五段に続いてプロ編入試験を突破した今泉健司新四段。そのお祝いの会に将棋ライターの後藤元気さんが参加してきました。

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会では「今泉さん対参加者」というアトラクションがありました。指名された人が10手ごとに交代するのですが、結果は参加者の勝ち。負けた今泉さんは「勝負どころで木村一基八段に出てこられたのが厳しかった」と笑顔でした。
瀬川さんは奨励会を退会したあとにサラリーマン経験を経て、再び勝負の世界に戻ってきました。今泉さんも奨励会を退会してから接客業に携わり、その後に介護のお仕事をされていました。
棋士の仕事の第一義は真剣に将棋に取り組み、よい棋譜を残すことです。棋譜は符号で示されるので似たような見た目になることが多いですが、誰が指したか、その棋士の個性によって符号に与えられる情報量が変わってきます。
たとえば相掛かりが得意な棋士が初手▲2六歩と突くのと、振り飛車の大家である藤井猛九段が初手▲2六歩と突くのとでは見る側に与える印象は違いますよね。
今泉さんにはこれまでの経験を生かし、個性のある将棋を指していただきたい。そしてNHK杯本戦出場の際には、ぜひ自戦記をお願いしたいと思っています。
■『NHK将棋講座』2015年7月号より

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