日陰をあきらめない庭づくり

ヤブコウジなどの比較的暗くても斑が出やすい斑入り種を取り入れて、暗い場所を明るく。撮影:伊藤陽仁
日陰だからといって、庭づくりをあきらめる必要はありません。最も大切なのは、日陰のタイプを知ること。日陰に庭をつくる際のポイントをホルティカルチャリストの月江成人(つきえ・しげと)さんに教えてもらいました。

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■Point1 日陰のタイプを知る

ひと口に日陰といっても、その性質はさまざまです。光を遮るものの種類や方角、広さなどによって変わってきます。自分の庭をよく観察しましょう。A・B・Cの3タイプごとの対策はテキストに掲載しています。
タイプA 一日中日が当たらず暗い
年間を通じて、一日中ほぼ日が当たらず、反射光もあまり期待できない日陰です。多くは建物などに挟まれた狭い場所です。
タイプB 夏だけ昼に日が当たる
太陽の位置が高くなる夏場だけ、直射日光が当たる日陰です。主に南側に構造物がある場合にできます。
タイプC 朝に数時間だけ日がさす
午前中の早い時間帯に、数時間だけ日がさし込み、それ以外の時間帯は明るい日陰となる場所です。

■Point2 日陰の植物に合った環境をつくる

自然界で日陰の植物が生育しているのは、森の中や林の中、そして、その周辺です。こうした場所では、永続的に木の葉が落ちて堆積しているため、土はふかふかで腐植質に富んでいます。さらに、天然の腐葉土による自然のマルチングにより、夏でも適度な湿度が保たれ、地温も上がりません。庭を少しでもこうした環境に近づけることで、日陰の植物が育ちやすくなります。

■Point3 植えつけ後も植物をよく観察する

日陰を好む植物を選んでも、日が当たる時間の長さ、時間帯、反射光の程度など、わずかな環境の違いで、よく育つこともあれば、調子が悪くなることもあります。また、温度も密接に関係します。
葉の斑がきれいに発色しない、花つきが悪いとなれば光線不足ですし、葉焼けするなら日が強すぎます。その場所、環境に合った種類を見つけ出すために、植えつけたあとも植物の状態をよく観察しましょう。
■『NHK趣味の園芸』2015年6月号より

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