初夏のごちそう「かつおのたたき」を豪快にいただく

けんやつまをたっぷりと添えたかつおのたたきは、初夏ならではのとっておきのごちそう。大皿に豪快に盛っていただきます。撮影:工藤雅夫
90歳の料理研究家、ばぁばこと鈴木登紀子(すずき・ときこ)さん。『NHKきょうの料理』では、その元気の素(もと)となるごはんを紹介する「登紀子ばぁばの元気印」を連載しています。5月号では、初夏ならではのごちそう「かつおのたたき」をつくってくれました。ばぁばがかつおの思い出を語ります。

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「目には青葉 山ほととぎす 初鰹(がつお)」(山口素堂)の句にもありますとおり、5月、夏が近づくこの時季の生きのよいかつおは、とっておきのごちそう。昔は江戸っ子が好んで食したといいます。ばぁばは青森・八戸の生まれですから、郷里でかつおといえば、脂ののった「戻りがつお」でした。秋口に入り海の水が冷たくなるころ、北上したかつおが津軽海峡のあたりでUターンして戻ってくるものをこのように呼びます。ばぁばが幼いころは、母が丸々と太ったかつおを一本買いして、銀皮づくり(刺身)やたたきに、蒸してなまり節に、塩焼きにと、さまざまに料理してくれました。もちろん、除いた血合いやハラスも全部きれいに使いきるのですから、昔のお母さんは本当にお見事ね。血合いをコロコロとさいの目に切って串に刺し、あぶったもの。ハラスと薄切りの秋なす、みょうがのお椀(わん)。血合いとハラスをたっぷりのしょうがとともに煮た煮物……。子ども心にもなんておいしいこと! と思ったものです。ばぁばは一つ一つの味を、今もはっきりと覚えております。
※「かつおのたたき」のつくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理』2015年5月号より

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