茶事七式とは——一般的なものは「正午」「朝茶」「夜咄」

さまざまな茶事も、七式のいずれかの形式を応用したものであることが多い 撮影:宮村正徳
炭を整えて懐石をふるまい、濃茶と薄茶を差し上げる——。茶事は、ふだん行っている茶の湯の稽古の集大成ともいえるものです。茶事には七つのバリエーションがあります。そのうち、広く一般的に催されている三つの形式について、武者小路千家 第14代家元 千宗守(せん・そうしゅ)さんに教えていただきました。

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茶事とは懐石料理と炭点前を組み合わせて、濃茶と薄茶を客に差し上げるもてなしをいいます。通常稽古場で行われている濃茶や薄茶の点前、炭点前、客作法は、まさに茶事の割稽古といえます。なお、料理を差し上げるのは、濃茶は空き腹で飲むとおいしくないだけでなく、気分が悪くなることがあるため、適当な腹具合にするために差し上げるのです。
茶事には正午・朝・暁・夜咄・跡見・不時・飯後の七種の形式があり、それを「茶事七式」と呼んでいます。
そのうち「正午」と「朝茶」「夜咄」は、広く一般的に催されている茶事です。
「正午」は式正の茶事と呼ばれる最もスタンダードな形式です。亭主は正午に客を案内し、茶の風味と釣り合いのよい味わいの料理を出し、料理の味を引き立たせる程度に酒も進めます。亭主自らが献立や器を吟味し、亭主自身が丁重に給仕をして客の食べぶりを確認し、自身も同じものを相伴して客の腹加減を知った上で濃茶を点てます。
「朝茶」は真夏の早朝に案内して、清涼な時間に朝食を出して濃茶を差し上げる茶事です。
「夜咄」は真冬の寒いころの日没後に催される茶事のことで、温かい献立の料理をすすめ、灯火の風情を愛めでつつ冬の夜長に閑話を楽しみます。
■『NHK趣味Do楽 茶の湯 武者小路千家 春の茶事を楽しむ』より

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