自家採種のメリットとデメリット

緑色のピーマンは未熟な状態。タネを採種する場合は赤く熟すまで収穫しない。熟した果実ではタネも充実して黄色みを帯びる。この状態のタネを採種する。
野菜のタネは購入するものだと思っていませんか? 果菜(かさい)類だけでなく、もちろん葉菜(ようさい)類や根菜(こんさい)類だって花を咲かせ、タネを実らせます。ですから、その気になれば、自家採種して、次の栽培に使うことができます。千葉大学園芸学研究科助教で蔬菜園芸学研究室博士の淨閑正史(じょうかん・まさふみ)さんに、自家採種のメリットとデメリットについてうかがいました。

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■自家採種するメリットは?

自分でタネをとると、以下のような利点があります。
【1】タネ代の節約になる タネを買う必要がなくなるので、当然、タネ代が浮きます。
【2】タネの出自が明白 市販のタネは、どこで、誰によって、どのようにして採種されたのかがわかりません。例えば農薬に関しては、どんなものを、いつ、どれくらい使用したのかなどを知るすべがありません。一方、自分で採種した野菜のタネなら、すべてが把握できます。
【3】オリジナル品種が作れる 自分が育てたもののなかからおいしい株とか、病気に強い株など気に入った株を選び、何代かにわたって交配すると、自分だけのオリジナル品種を作ることが可能です。

■自家採種のデメリットは?

もちろん自家採種にはデメリットもあります。
【1】畑の占有期間が長い 果菜類は別として、葉菜類や根菜類は、普通は花が咲く前に収穫を終えるので、畑を短い期間しか占有しません。しかし、例えば秋まきの野菜のタネをとろうとすると、春に花が咲き、そのあとに結実して果実が熟すのは初夏になるので、一部とはいえ10か月近くも畑を占拠します。その間はほかの野菜が作れません。限られた面積の家庭菜園では、とても非効率と言えます。
【2】手間がかかる 品種を維持するために交配し、タネを採種して、保存するのには、結構な時間と手間がかかります。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2015年1月号より

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