バナナやトナカイが単位!? 訳したくても訳せない、世界のユニークな言葉

翻訳できない世界のことば
『翻訳できない世界のことば』
エラ・フランシス・サンダース
創元社
1,728円(税込)
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 世界中から"翻訳できない言葉"を集めたユニークな単語集『翻訳できない世界のことば』。同書は、「apple=リンゴ」のように、1語=1語では単純に訳せない言葉、他の国の言葉ではぴったり該当する表現が見つからない言葉を集め、紹介しています。

 日本語ならではの表現としては「WABI-SABI(侘び寂び)」と同列に並んでいるのが、「TSUNDOKU」。読書好きなら誰しも身に覚えがある「積ん読」ですが、同書では「買ってきた本をほかのまだ読んでいない本といっしょに、読まずに積んでおくこと」と解説。ほかにも、英語では訳語がない「KOMOREBI」は、「木々の葉のすきまから射す日の光。木漏れ日」といった具合にご紹介。

 ユニークさでひときわ目を引くのが、「poronkusema(ポロンクセマ)」という言葉。フィンランド語で「トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離」という意味で、生活にトナカイが密接に関わっている地方では、重宝される表現だと言います。

 ほかにも興味深いのが、「pspang zapra(ピサンザプラ)」という表現。マレー語で「バナナを食べる所要時間」という意味で、食べるバナナの大きさや、人によっても違うはずですが、マレーの人々の間では、おおよその所要時間が決まっている様子なのだとか。

 直訳にとどまらず、その言葉の背景にある歴史や世界観を、みずみずしい感性と、小粋なイラストにより表現し、手元に置き、折に触れて読み返したい1冊となっている同書。私たち日本人には皆目見当もつかない"トナカイが疲れない距離""バナナを食べきる時間"ですが、それぞれ一体どのくらいなのか、ぜひ、本書を手に取って、確かめてみてはいかがでしょうか。


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